教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 32回  耳で見る(聞くではなく) 返事は   

授業にとって最初に指導するのは、「返事」です。 ただし、声の小さな子どもに対して「もっと大きな声で返事をしなさい」とは言いません。言ってはいけないのです。返事の声が小さいという事実の原因が大切だからです。  4月に子どもたちと出会いますね。  一週間は、出席簿をもとにして一人一人の名前を呼びます。そして返事をさせます。  「みんなの名前と顔を覚えるために名前を呼びますから、返事をしてくださいね。…

 教育随想  31回 係活動 なくても生活できるところからの出発

係活動はほとんどの場合、6月ぐらいになると形骸化しています。 係活動がなくても学級生活は維持できます。本当に必要なのかというところから子どもたちに考えさせる必要があります。  子どもたちに問いかけます。  「係がなくて困ったことはありますか。どんなことですか。」 「係があってよかったということはありますか。」  係活動の目的は2つです。 ① 係をつくることによって、学級が明るく楽しいものになって…

教育随想 30回  講義形式の授業ができてこそ

話し合い学習がすばらしいのではありません。  講義形式よりも話し合い学習の方がすばらしいという風潮があります。 子どもの姿が目に見えることで、あたかも、子どもたちが主体的に学んでいるように見えます。 私は、生涯、話し合い学習を大切にしてきた人間です。 だからこそ、一時間、講義できる話し方、子どもを引き付ける話し方を磨くことが大切だと思っています。 講義形式は大切です。 先生が一方的に話して子ども…

教育随想 29回 無駄のある 教室づくり

家では、食事をしたり睡眠をとったりします。それが家に求められる最低限の生活です。 ですから、台所と調理器具、布団があれば事足りることになります。 しかし、それだけではなんとなく寂しいものです。 いろいろな家具をおいたり、額をかけたりします。でも、それらのものは、生命維持に絶対なくてはいけないというものではありません。そういう観点にたつと無駄なものですね。 教室も同じです。 教室は学習者が学ぶため…

教育随想 28回  学級づくりは 風をつくることかな

 レストランに行くことがありますね。 入店した瞬間、すでにレストランの風が吹いています。張りつめた風、わくわくする風、なんとなくけだるい風・・・・。 すっきりとさわやかな風が吹いているレストラン。この風はどこから吹いてくるのだろうかと考えます。 見えるものは、ごみ一つ落ちていていない床。清潔でていねいに整理されたテーブル。店員の落ち着いて歩く姿。 聞こえるものは、入店と同時に耳に届く「いらっしゃ…

教育随想 27回  集団の空気に支えられて 学ぶ  

 近所に行列ができるラーメン店ができました。  新しいものには目がない私は、その店に行ってきました 食券を買ってから細い通路を通り、のれんをあげるとカウンター席がずらりと並んでいます。 席は、両側はついたてで仕切られており、食事中の様子が見えないようになっています。前は、小窓になっていて、店員が注文を聞いてくれます。でも、店員の顔は見えません。ラーメンの器を持った手だけが私のカウンターの中に入っ…

教育随想 26回    時を 守り 時を 生かす子

学校における時間のしつけは大切なことです。 しかし、時間を守りなさいと言葉だけの指示では到底身につくものではありません。  時を守ることが時を生かすことになるという意識を育てたいものです。 授業開始のチャイムが鳴ってから何分後に授業を開始できますか。 5分間ぐらいかかっていませんか。 子どもたちが運動場の遊びから帰ってくるのに時間がかかります。 次の学習がおもしろくないと、いや、授業がつまらない…

教育随想 25回 最初の授業は 教科書の表紙から始める

子どもたちは新しい教科書を前にして、うきうきしています。 新しい教科書は、子供たちにとってまさにリセット気分ですね。 さて、最初の授業は教科開きの授業です。 子どもたちは、授業が始まると表紙を開いています。 先生はこう言います。 「さあ、国語の勉強の出発だね。あれ、どうして表紙を開いているのかな。」 子どもたちはきょとんとしています。 「表紙から勉強します。」 「えっ、表紙も勉強するの?」と子供…

教育随想 24回 前の担任の賞味期限は 長くて一か月

 「今年は、いい学級を受け持つことになりました。前の先生がしっかりと子どもたちをしつけているので手間がいらないです。楽勝ですね。」という先生。 気の毒なことに、連休明けぐらいから、学級の子どもたちへの愚痴ばかり。 前の担任の指導が生きているのは、長くて1か月ぐらいです。 2年生は、一週間で崩れていきます。 一年生の担任の先生が嘆きます。 「あれだけしっかりとしつけておいたのに、どういうことなの?…

教育随想 23回 家族絵テスト 家族の中の子どもの位置がわかるかも

心理テストはあくまで、先生の所見の参考にするためのものです。決して、鵜呑みにしないようにします。 その中で家族絵テストはおもしろいです。 A4の用紙に、「今、家に一緒に暮らしている人の顔を書いてください。その下に、だれなのかもかきます。そして、あなた自身、自分も書きなさい。もちろん、ペットも書きます。」 顔の大きさも書く位置も指定しません。顔のみで首から下はカットです。 そうすると、いろいろなこ…