教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 22回  急がない ゆるりと始める 新学期

新年度が始まると、学級生活の準備という名目で、大掃除、学級のめあて、学級のルール、係活動分担、当番活動の割り当てなど、新学期の三日間は大忙しですね。 先生としては、最初にきちっとした型作りをしたいものです。容器をつくってから液体を流し込みます。液体は漏れることはありません。しかし、液体は、その枠組みの中で形が規制されています。形を変えることはありません。 子どもたちと学級の枠、ルールも同じですね…

教育随想 21回 子どもの成長母胎 家庭環境に関心を

先生の三大技術は  子ども理解 教材研究 授業技術だと考えています。  授業技術は、子ども理解と教材研究の深さに比例します。 教室は知識を満たすことだけではなく、人間関係を学ぶ上で最も重要な場所です。 家庭でも人間関係を学ばなければならないですが、学校は、生育歴、家庭環境、価値観の異なった子どもたちが集まっています。 そこから共有できる価値観、お互いの妥協点を見いだす場でもあります。 人間が人と…

教育随想 20回 先生の持っておられる感性を信じてスタートしましょう

ある先生がこんなことを言われました。  「4,5月ぐらいまでは、力が入って子どもたちに関わるのだけど、6月ぐらいになるとダウンするように思う。」 この気持ちはとてもよくわかります。 4月の先生と子どもの姿は活気にあふれています。にこやかに挨拶を交わす先生と子どもたち。 運動場では、先生と子どもたちが笑顔で遊んでいます。 特に、先生は、子どもたちに「よい先生でありたい」という願いがあるのか、子ども…

教育随想 19回 子どもの名前よりも 表情を焼き付ける

新学年に先だって、子どもの名前を覚えられる先生がおられます。 始業式の日にさりげなく子どもを見て、その子の名前を呼びます。 子どもたちは「えっ、ぼくのこと、知っているの?」と驚きの表情を見せます。 そして、「私は」「ぼくの名前を知っているの?」とせがむようになります。 サプライズを期待しています。 自分の名前を知ってもらえているというだけで、子どもたちは嬉しいようです。 私も何回か、実行してみた…

教育随想 18回 子どもたちの「事実」を集めることから 子どもの「真実」を

児童資料や保健資料、指導要録などが引き継がれます。 子どもたちの指導にあたって必要なものですが、取り扱い方によっては、これからの指導に大きく影響します。 指導要録。 前学年の担任が子どもの学習と生活、行動の特徴について明記しています。 これは、前の担任の目を通してかかれたもので、子どもの全体像ではありません。子どもに出会う前に閲覧してしまうと、子どもに対する先入観をもつことになります。 前担任の…

教育随想17回  4月は 先生のお試し期間です

担任紹介のあと、教室に入ります。 この時は、先生も子どもたちもなんとも言えない新鮮な気持ちになります。 わくわく感とほどよい緊張感がわいてきます。 お互いによく知らない者同士のお見合いなものでしょうか。 子どもたちは「どんな先生かな」と不安と期待をもって先生を見守っています。 子どもは先生の言葉や何気ない振舞いの中に先生を瞬時に判断していく能力を持っています。 子どもたちの感覚は素晴らしいもので…

教育随想16回 担任になっても 先生にはなれない

先生が新しく学級の担任になります。 「最初が肝心だ。だれが先生かを子どもに理解させなければならない」と言われた先生がおられました。威厳をもって先生の指示に従わせる方針をたてて指導にあたられていました。 これも先生の一つの生き方でしょう。 ただ、一年間の子どもたちは伸び悩むことになります。 学級を維持管理するだけで終わることになります。 担任発表のとき、子どもたちの表情はとてもおもしろいですね。 …

教育随想 15回 新教室  その最初の印象が教育の始まり

前の学級の掲示物や押しピンをはずします。 新しい気持ちで入室する子どもたちを想像してください。 古い掲示が張られていたり、無意味な押しピンがささっていたりすると、気持ちが色あせてしまいます。 一人一人の児童机にすわって、座り心地、がたつき、机の表面の凹凸の有無を点検してから、机の中の雑巾掛けをします。凹凸のある机はパテを使ってうめていくか取り替えます。机の落書きは消します。 教室の棚やロッカーの…

教育随想 14回  教科書は子どもと仲良くなるための媒体

やがて学年担任が決まります。 先生がたは、緊張の中、子どもたちの一年間を想像されることでしょう。 担任を持ちたかったのに、教科専科を任された方もおられるでしょう。 そして、子どもたちを迎えるための準備に着手されることでしょう。 何をどのように準備されるかは、人それぞれ違います。 ただ、煩雑な事務が新年度に待っています。 どうして、こんなにややこしいことをしなくてはという思いを持つことがあります。…

教育随感随想 13回  新学年 最初の一歩

三学期の終業式の時の子どもたちの顔を覚えていますか。  明るい顔をして教室を後にした子ども。  走るように教室を去っていった子ども。  少し暗い顔して、退室したくないという子ども  教室の掲示を惜しむようにながめながらでていく子  この時の子どもたちの顔は、学級に対する子どもたちの評価です。一年間の学級の評価であり、先生の評価でもあります。  他の学年の子どもたちの廊下で帰り際に出会った子どもた…