教育随想 31回 係活動 なくても生活できるところからの出発
係活動はほとんどの場合、6月ぐらいになると形骸化しています。
係活動がなくても学級生活は維持できます。本当に必要なのかというところから子どもたちに考えさせる必要があります。
子どもたちに問いかけます。
「係がなくて困ったことはありますか。どんなことですか。」
「係があってよかったということはありますか。」
係活動の目的は2つです。
① 係をつくることによって、学級が明るく楽しいものになっているか。(空気)
② 係をつくることによって、学級の生活が便利になっているか。(利便性)
中、高学年の係活動について考えます。
まず、昨年度の反省をする必要があります。
係があることで、学級が楽しくなったり、生活しやすくなったりしたか。
楽しさと便利さ、あるいは、快適さなどの視点にたって、子どもたちに振り返らせることです。
それを踏まえて、新しい係を考えさせます。
5月の連休すぎぐらいに決めます。
係のグループを決定する場合
生活班でひとつの係を決めさせる。生活班=係活動班
あるいは、係名だけ決めて、自分の希望する係に入る場合
どちらもそれぞれの良さがありますので、学級の子どもたちに決定させます。
いろいろな係をしたいという希望が多ければ、学期の前半と後半の二つに分けることも考えられます。輪番制の導入です。
具体的な係が子どもたちからでにくい場合は、先生から提案します。
ただし、決定は子どもたちです。
いろいろな具体例をあげます。
係が今までと同じであっても、名称に目的が表れている名前にします。
保健係⇒健康を守る係・健康アップ係・
掲示係⇒季節をつくる係(掲示によって季節感をだす。)
季節コーデイネーター ・季節発信係
情報発信係(ためになる情報掲示)
美化係・・・すっきり環境係・
図書係・・・読書案内係・おすすめ読書係・読書情報係
※ 以上のように、係名に、係の目的が表れるようなものが面白いです。
この場合だと、係が重複しても目的が違うものになります。
欠席者に今日あったことを手紙にする係もあります。欠席していても友達に関心を寄せることができます。・・・サポート係など
掃除当番の活動後、掃除の後の点検をして、終わりの会にみんなに伝える係もいいです。自分たちの目で自分たちの清掃活動を反省し、よりよいものにします。問題点も浮き彫りになります。 美化係の拡張 ビューティ係...
学級文化の一つとして、みんなで歌を歌うということがあります。
歌の曲を決定し、学級のみんなを指導していく。できれば伴奏もする。
合唱係 歌声係 など
学級の歩みを綴る「歴史係」のようなもの。
歌の係と似ていますが、今、流行の歌をみんなに伝えていく(たとえばAKBの歌のように)があってもいいでしょう。歌と振り付けもみんなに伝える係、そんなことが好きな子がいますね。
学級の中に社会の文化を取り入れます。
勉強について言えば、
算数の得意な子のための「算数テスト作成係」
自分たちでテストをつくってみんなに提供して役立つようにする。
国語に関心のある子は、ことわざや故事成語をみんなに伝えていくような
仕事。・・・言葉研究係
理科や社会についても考えられます。
係も生活に関する係と学習に関する係の2つに分けることも考えられます。
要するに、学級の友達に役立つ仕事を考え、実行できるような係を。
係活動の進め方の再点検として
①係づくり・・・今、必要なもののみつくり、順次、生活していく中で係をつくりだし
ていく。一度につくらない方法もあります。
係決定は、自分たちがつくりたい係とその趣旨を学級全員に説明
して、全員に賛成してもらうことが条件にすることもあります。
②活動の方法・・・ねらい⇒計画(内容)⇒実行⇒反省
③係の点検・・・朝の会などで、係からの連絡の中に、活動の反省報告もいれて
いく。
④係活動の記録ノート・・・一年間、メンバーが変わってもノートを引き継いでいく
連絡帳などは、係活動の記録に使いやすい。
ノートに記録すべきことは
・話し合ってきめたこと
・活動したこと ・反省点
係活動記録ノートのページが増えることが励みになります。
係活動を新鮮なものに保つために
○ 仲間の目を引き付ける係のポスター
○ 学級全員でそれぞれの係活動を評価する場をつくる。
一か月に一回、活動状況と仲間からの評価を受けます。
○ 係の仕事を他の係の仲間から提案してもらう場をつくる。
○ 係と係の合同の仕事を考える。
○ 学校行事にむけて、各係が特別の仕事を考える。
例 運動会にむけて
美化 保健 図書 集会などの係の仕事を考える。
最初に係ありきからスタートするのではなく、なぜ、必要なのかを
全員が納得することで実施していくようにします。
一度に係が誕生するのではなく、5月の中旬ぐらいまでに全員が
係活動に参加できていたらいいのではないでしょうか。