教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 97回 注意・叱責は先生の自己満足

今回から数回にわたって、かつて、先生方から研修の場で質問されたり、個人的に相談されたいりしたことについての私なりの考え方をお話しします。


質問内容
・授業中、自分の意見を発表するとき以外はほとんどふざけたことを言うことが多い児童が2名いる。生活のルールも守れなく、みんなに迷惑をかけている。教師だけでなく、児童たちからも2名の子に自分たちの考えや願いを言い、それに対して2名の児童たちも迷惑をかけていることを謝り、これからがんばっていく約束をした。しかし、1学期間、ほとんどかわってなく、よくなっていると言えない。2名の児童を認めていく場を多く取りたいと思っているが、やはり注意が多くなっていると思う。どのようにがんばっていったらいいのか、教えてほしい。
以上



注意や叱責で子どもたちが変わることはほとんどありません。
学級には、考えも関心もまったく違う子どもたちが集まっています。
学級の風は、自分勝手に吹いています。
子どもたちに注意したり指示したりしただけで子どもたちが変容するのなら、先生の仕事は誰にでもできることになります。


よく世間では、「先生はプロである」と書物などで見かけますが、どうなのでしょうか。そんなに豪語するほどのことでもないように思えます。
先生は、私もそうですが、自分自身のこともわかっていない人間です。
それなのに、他人である子どもたちを理解することは難しいです。
それでも子供たちの前に立ってしまった、教壇に立ってしまったという事実からは逃げられません。
だから、試行錯誤を繰り返して、自分と子供の両方を見つめながら実践するしかないと思います。実践して失敗、失敗して実践・・実践の繰り返しでしかないでしょう。



この問題は、二つの面から考えてみましょう。
〇一人の子と先生との距離は縮まったのでしょうか。
①ふざけることで、先生にかまってほしいという願い。
子どもたちが先生に注目されたいという願いを全員持っています。
勉強ができる子などは、初めから目立っています。
挙手の多い子は先生との接触の機会が多いですね。
それを周りで見ている子供たちは、羨ましいですね。
ぼくも先生に注目されたいと思うのは当然です。
いつもお話していますが、プラス面で注目されない子どもは、マイナス行動で注目されようとします。
 授業中の悪ふざけ  机や椅子を動かして音を出す  友達の発言を冷やかす  前を向かずにそっぽを向く 机の上に顔を伏せる ・・・
 まあ、いろいろあります。子どもたちなりに先生の注意や叱責をさそっているのですね。先生は、それを見るといら立ったり、落ち込んだりします。


それは、子供は先生との距離を縮めたいのです。だから、その子と勉強以外のことでつながる努力をします。日常の話題で、その子とお話しができるようにすることが近くなることです。もちろん、授業においても・・・。


②彼の行動は否定しても行動の裏にある感情は受け止める。
                          カウンセリングマインド


 子供がなぜそうなるのか、表の行動の裏にある心情、過去の体験をさぐる必要があります。ただ、そうはいっても、目の前の子どもが問題行動をしている場合、無視するわけにはいかないですね。
 無視すると周りの子どもの不信感をかうことになります。
 だから、先生も表向きの注意だけします。その一方で、子どもと二人で話
 します。「心かおちつかないようだね。何かありそうだね。よかったら、たまっ
 ているものを先生に話してみないか」と持ちかけます。
 その時に子どもは直には答えません。それよりも対話したということが
 大事です。こうして、彼といろいろなことで対話していきます。給食を一緒
 にしてもいいです。食べるときは、雑談できますから。


③子どもが求めている理想の先生像は何か。
 マイナス行動を示す子どもは、その子なりの理想の先生像を持っています。
 そのことを知らなければなりません。
 「あなたにとって、どんな先生だったらいいのかな」


④彼の願いは何か、何が彼の願いを阻んでいるのか。
 どの子も願いを持っています。自分がこうなりたいという思いを必ずもっています。その願いが何かの原因で阻まれています。こういった場合、一年生の時からの記録や情報を集めます。すると、必ず、今と違った姿を知ることができます。そこに、彼の願いがあります。願いが止まっています。


⑤学級集団に対する不信感とは何か
 その子どもが持っている慢性的な学級に対する不満があるはずです。
 「ぼくのことをいつも・・・」というような不満を対話の中で聞いてあげるようにします。マイナス行動をとる子供は、学級社会からレッテルをはられることが多いです。そのあたりの話を聞いてみるのもいいですね。


  次回も、この問題についてお話します。




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