教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 938回 授業は三次元の世界 三つの関数

授業は、教材・児童・授業者の三つの関数がお互いに影響し合っています。
それぞれについてお話します。


教材は、子どもと先生をダイレクトにつなぐものです。
授業者は教材を通して、子どもたちも教材に向かうことで学びます。
教材研究で考えることは


〇一人の大人として、この教材から何を学びとるのか。
 子ども抜きで教材に向き合う。(教材解釈)


〇この教材でどのようなことが教えられるのか。(教材研究)
 少なくとも、一つではないのでできるだけ多く上げる。
 そのなかで、順位をつける。(核になるのはどれか)
純粋に教材としての価値を考える。


〇教材を通して、どのような子どもたちに育ってほしいと考えるか
 
教材を使ってどのような心情、考え方を育てるか。


教材は、授業者が好きになるまで読み直す。
嫌いな教材があるものだが、好きになるまで研究する。
授業者が教材を好きにならないと、子どもたちに本気で教えることはできない。(うわべの学習になる)


児童理解
〇この教材を子どもたちはどのように受け取るか。


 おもしろい・・・おもしろくない
 わかりやすい・・・わかりにくい など
 その理由も推察する。


〇教材の内容を理解するための準備(レディネス)ができているか。
  既習事項との関連を考える。
〇具体的な子どもを想定する。特定の子どもにとって学びやすいか。
〇算数のように、スタートラインをそろえるために、内容を低いところから
始める必要がある。


授業者
〇子どもは教材のどこに関心をもってくるか。
〇どこが学びの難関点になるか。
〇教材と子どもをつなぐための指導順序と方法を考える。
〇前もって考えていたことが、授業が始まると必ず崩されることを想定する。
〇子どもの学びは、予測できないことが多い。(そこに授業者の学ぶべきものがある)
  だからこそ、授業は面白い。


当日の授業は
〇子どもの興味関心によって、教材の見せ方、入口を変更する。
〇子どもに寄り添いながら、時には突き放す場面をたえず意識する。



当日の気象条件も子どもの学びを左右します。
梅雨のうっとうしい日とからっと晴天の時では違います。
子どもたちの体調変化、風邪ひきが多くなっている場合があります。
水泳のあとの授業は、子どもたちは疲れているので学び方が違います。


このように、三つの要素(教材・指導・指導者)によって変化するのが授業です。
しかし、前もって、あらゆる場面を考えて準備できるのが教材研究です。
指導案も3通りぐらいを考えておく必要があります。(発問だけでもよい)
教材の内容は動かないので十分に事前研究ができます。


よくあるパターンとして、一つの授業案だけで最後まで押し通してしまう場面があります。
その時は、子どもたちは置き去りにされています。


実は、四次元かもしれません。
それは、目に見えない空気、雰囲気です。

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