教育随想 936回 先生の教育力 専門的力量
「教師に求められるものを大きく分ければ、専門的力量と人格的力量」になろう。この二つは教師にとって不可欠なものである。」(「教育力」斎藤孝より)
現場の先生を知る限りにおいてわかることは、専門的力量が今一つというところである。
悲しいかな、先生は、指導書に沿って授業を進める限り、外見上は様になります。
しかし、教材の背景にある自然科学や人文社会学などの勉強がなされていません。
高学年になるほど、子どもたちは先生を評価します。
先生は学習について造詣がふかいかどうか。
先生は、自分にとって信用できるかどうか。
先生は、自分を育ててくれるかどうか。
一年間、この先生に自分を任せてもいいものがどうかを考えます。
6年生では、さつそく「物が燃える時」という燃焼の学習がでてきます。
教科書や指導書どおりに授業を進めることはできます。
しかし、燃焼は、日々の生活でおきている化学変化です。
ものが燃えていることの不思議さは奥深いものがあります。
燃焼の学習を通して、科学への興味関心を呼び起こします。
そのためには、中学や高校の教科書を紐解きます。
燃焼の歴史をさぐるために、科学史の勉強をします。
科学史は、人類の発見の歴史です。
物理的法則、科学や地学についての発見の歴史が化学史のなかにあります。
社会の歴史、地理学習がでてきます。
今は、インターネットによる動画が簡単に手に入れることができ、子どもたちに視聴させることができます。
しかし、現場に足を運んで自分の目で確かめると、そこには、臨場感があり学ぶ意欲がわきます。
それは、「感動」なのです。
現地、工場、史跡などに行くと「ネットでは味わえない感動があります。
感動は、学ぶ意欲の源です。
さて、実際問題として、日々の教材研究の時間は限られています。
毎日、すべての教科に指導案をつくることはできません。
そこで、土日の間に新しい単元の教材研究をします。
そして、大まかな指導の計画をつくります。
単元の指導計画です。(目標と準備物)
その時に、単元の研究を教科書から少し離れて研究します。
背景にある学問的な意義も調べます。
そばにおく参考書として、受験参考書の自由自在(小学校・中学校)
を購入します。
国語・理科・社会の研究には役立ちます。
さらに、深めるためには、専門書を用意します。
文庫本などには、単元研究に役立つものが多いです。
日々の授業については、自分なりの簡単な指導案の形式を作ります。
B5の半分ぐらいのものです。
形式を印刷したものを用意します。
中には、一単元だけは、しつかりと研究するつもりでB5の指導案をつくります。
学校事務に追われて研究する時間がないと言われることがありますが、
もし、医者がそのような言葉を話したら患者はどんな印象をうけるでしょうか。
医者は患者の治療のために勉強します。
先生も子どもに教え育てるために勉強します。
子どもを育てる先生は、広く深く研究されています。