教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 924回 新年度 子どもたちの意欲を高める教室準備



いよいよ、新年度、に入学、進級した子どもたちを迎え入れる時がきました。
先生は、気分もリセットして新しい子どもたちと出会います。
子どもたちも「今年こそは・・・・」と学習や生活において気分を新にして登校します。


さて、子どもたちが登校したとき、何をもって「進級したなあ」という気持ちをもつでしょうか。
担任紹介の時、新しい先生と出会う新鮮さ。
新しい学級で、新しい友達との出会い。
新しい教室に入る喜び。
家庭では「頑張ってね」と親からの励ましの言葉を背中に受けて登校する喜び。
登校途中の春の色とりどりの野草。
すべての環境変化が自分は進級したという自覚を誘います。


ところで、上記のことから、子どもたちが進級の喜びを最も強くするのはどれでしょうか。
子どもによって異なるので、一概には言えませんが、やはり、教室です。
教室の入った瞬間、子どもたちは進級を感じます。


「あっ、なにかが違う」「なんとなくやる気がでそう」「新しいものがいっぱいだ」「すっきりして気持ちいいなあ」という感覚を持たせます。
教室に入室するだけで担任の一年間にかけるメッセージが伝わるようにします。
ですから、初日の日は子どもに掃除をさせません。
二日目から掃除を始めます。
レストランやホテルに入った時の清潔感をだすようにします。
これだけでもずいぶんと子どもの気持ちはリフレッシュされます。


そのために、子どもたちを迎える前日までにすることがあります。
前のシールがこびについていることがあります。
これもきれいにはがしていきます。
教室の床板をチェックします。
落ち込んだり、引っかかったりするところはないか、すべりやすいところはないかを歩いて調べます。


教卓の中と周辺の片づけ、子どもたちが、いつ、先生の引き出しをあけてもいいように片づけておきます。
ふつうは、勝手にあけないように伝えておきますが、それでも、先生のいない時にそうっと開ける子もいます。
そのときに「さすが、先生だ。きれいに片づけている」という認識を与えます。
これが、自分のロッカーや引き出しの片づけに影響します。
先生がしていないことを子どもたちに要求すると、高学年では、不信感を持つようになります。
床を掃き、机や椅子の雑巾がけをします。
窓ふきも大切です。
一年間、子どもにさせられませんので、窓ふきは、清掃当番が決まっても先生の担当にします。


教室の時計の位置、ふつうは、教室の横にかけていますが、これでは、すべての児童が時計をみることはできません。
授業が早く終わってほしいという子どものために、前の黒板の上に取り付けます。
そうすることで、前を見ているだけで時計の示す時刻がわかります。
私のつまらない授業をがまんしてもらうために、せめて時間の経過だけはわかるようにしておきます。
よそ見して見なくてもいいですね。


最初の教室をすっきりさわやかにして、新しい子どもたちを迎え入れます。
飲食店と同じです。
環境を整えることで、料理をおいしくさせます。
子どもたちの新鮮な気持ちを萎縮させるわけにはいかないのです。

×

非ログインユーザーとして返信する