教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 94回 話し合い 間合いをとることの大切さ

友達の意見を自分の頭のなかに沈める時間が間合いです。
話し合いをさせるとき、どうしても子どもたちは、時間をおかずに話し始めます。
友達の発言のあとにすぐに話をしだしたら、考えるための時間がなくなりますね。
最初は難しいですが、間合いがなくなってきたら先生が注意を促します。
やがて、1ヶ月もすると、子どもたちの方から間合いを要求してきます。


発言と発言の間合いも大切ですが、それと同時に話し手の間合いがもっと大切になってきます。
 「ぼくは、みんなとは少し考えが違うよ。みんなは、主人公を冷たい人だと思っているけど・・・そうかな・・・やさしい面もあるのでは・・・たとえば、・・」
聞き手に考える間をつくりながら、聞き手の顔を見渡しながら話すように指導します。
だれに向かって、みんなに向かってなら、みんなの顔を見ながら話すように導きます。
考えながら話すとは、自分にも聞き手にも間合いを与えることです。


これは時間のかかることですが、繰り返し指導していくうちに、子どもたちだけで話し合いを修正するようになります。
 「みんな、もう少しゆっくりと話そうよ」 
 「ちょっと間が短いからゆっくりね」


 話す時の速さと 間合い
 話し手と話し手の 間合い


 間合いのなかで人は頭の中で復唱します。
 間合いの中で発言を理解します。
 間合いは見えないから指導が難しいですが、ここをしっかり指導してできるようになったら、学習の深まりが違ってきます。


 かっこいいから話し合いを導入するのではありません。
 学習内容を子どもたちの手に委ねる。
 学習内容の解釈の広がりと深まりへの期待。
 自分たちが主体になっているという自信。
 そこから生まれる学習に対する意欲の増幅。
 話し合い活動は、学習を混沌とさせます。
 思わぬ方向に走っていきます。
 どこで指導をいれるか、ストップか修正か、先生の指導が光るところですね。
まだ、細かい指導はいくつもありますが、ここで閉じます。
また、時々、付け加えていこうと思っています。


ちなみに、私は、子どもたちの話し合いによる授業づくりで公開授業を年間数回、実施してきました。体育館やホールで500名の公開授業も実施、あるいは、私の教室に県外から参観者が多くこられました。
そのことが励みになって、研究を進めました。
恥ずかしい思いも多く経験しました。
講演依頼も多く引き受けてきましたが、必ず、最後には、私の教室をのぞいてくださいというお願いをしました。
理論だけなら何とでも言えるからです。
先生は実践者です。
日々の教室の営みで生活しています。
苦しい日々であり、楽しい日々でもあったと思います。

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