教育随想903回 3年国語「モチモチの木」学習 個別、個性的な子どもの思い
1.ねらい
○「おくびょう豆太」の場面を読み、豆太の境遇や性格を読みとる。
2.指導にあたって
○豆太のみにスポットを当てるのではなく、「じさま」の視点から豆太を眺める読み方が大切である。➡「描き出す」ということ。
3.指導展開
めあて 豆太はどんな子どもだろうか
導入 めあてを意識して一場面を音読する。
黙読して、どんな子どもかわかるところに線を引く。
○豆太はどんな子かを読みとる。
①「全く、豆太ほどおくびょうなやつはいない」
➡どこからわかるかを発表する。
②「とうげのりょうし小屋にじさまと二人ぐらし」
・お母さんがいない子。さみしい。
・山の自然の中で育った子
・友だちがいない子
※文章からは、「おくびょうな子」からしか、子どもたちは読みとれないだろう。
豆太の置かれた境遇からじさまと豆太の心の絆が読み取れるようにする。
じさまは豆太をどのように思っているか。
「どんなに小さな声で言っても・・・すぐ目をさましてくれる」
「一まいしかないふとん」
・豆太がどんなにかわいいか
・いつも一緒にねている豆太のぬくもり
じさまのぬくもり
・豆太をかわいそうに思うじさまの気持
※じさまが一人でしょんべんに行けないことをせめることなく、夜中でも目を覚ましてくれるところから、じさまの思いを読みとっていく。
留意すべき言葉
「全く、豆太ほど・・・」
「全く」は、「すべての面にわたってそうとしかいいようがない様子」
➡豆太のおくびょうな面を広げることもできる。
一場面の最後の二行は大切である。
「それなのに、どうして豆太だけが、こんなにおくびょうなんだろうかーー。」
「それなのに」
豆太のおとう、じさまはきもを冷やすようなことを見事にやってのける
のに比べて・・・
「それなのに」おとうの子、じさまの孫なのにという意味あいがある。
この一場面では、
子どもたちが自分の性格、体験と重ね合わせ比べながら読み取るだろう。
子どもが豆太を最初において、どのような人物像としてとらえるかが、この話を読ませる原点である。
ここで注意しなければならないのは、一人一人の考え方の共通点を強調しないことである。
子ども独自の思い、感動は個別的であり個性的である。
「おくびょう」は単純に怖がりを意味しない。
「気が小さい」「心配性」であるために、必要以上に用心深くなり十分に事態に対処できないことである。
そのように考えると、気が小さい子、心配性の子という面では共感する子も多いはずである。
最後まで読み続けていくなかで、子ども一人一人の思いが変容していくことを大切にする。
指導者のねらい、意図はしっかりもつ必要があるが、それによって、子どもの純粋な思いを圧迫しないようにする。(どうしても指導者は先走りするものだが)