教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想900回 3年国語「モチモチの木」学習指導(2)音読指導

作品の勉強には、作品を読むための準備学習がある。
語句や漢字、登場人物、背景の把握、そして、はじめの感想などいろいろとある。
子どもたちが作品に無理なく入っていけるようにするのが準備学習である。
作品、子どもの実態、地域環境によって指導の仕方は異なる。


最初の音読
子どもたちは自分で黙読したり音読したりして読んでいる。
全体の場で初めての音読をどうするか。
これもいろいろと意見がある。


一つは、先生が最高の朗読をして、子どもたちに感銘を与える。
これは、先生が前もって教科書をほとんど見なくてもいいぐらい練習をしておく。
先生が教科書を見ないで、子どもたちの表情を読み取りながら朗読すると子どもたちの表情は変わる。
先生にとっては、大変な時間を必要とするが、これが教材研究、指導研究である。


それができない時は、朗読の上手な子どもを指名して、リレー形式で朗読させる。
決して、つまるような読み方をする子を指名しない。
映画の上映で機械の不調で、画面が途切れ途切れになるようなものである。
作品と出会う子どもたちを大切にしなければならない。


それでは、音読の苦手な子はどうするのか。
作品の読みが終わるまでに個別指導をして、最後に全体の場で読めるようにする。
そのことを、作品の勉強の始めに個別に示唆する。
「みんなの音読の仕方をよく聞いて、あなたも最後には上手に読めるようにしょうね。一番、最後の時間に読んでもらうよ、予約しておくよ。」
と話しておく。


一行ずつリレー式で読ませることもあるが、文学作品は不適である。
細切れにすると作品の味わいがなくなる。
説明文の場合は、すらすら読めることをねらってリレー音読をすることがある。


文字を音声言語になおして表現することは、とても大切なことである。
音声は、読み手の感情、心情を言葉を通してくみ上げる。
音の高さ、強さ、速さ、抑揚、間合い、声の色など文字言語に多くの色付けをすることができる。


やがて、言葉は内容を伝え合うだけでなく、お互いの気持ちを伝え合うコミュニケーションへと変化する。
子どもたちが聞き手に伝える話し方が表情豊かになってくる。
このようになると、話し合い学習が明るくなってくる。


モチモチの木は、豆太の会話文、じさまの豆太に対する愛情あふれる思いが地の文に表れている。
豆太に寄り添って読むが、じさまの視点で音読するのもおもしろい。
子どもは、どちらの視点で読むだろうか。

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