教育随想 878回 授業にドラマがなくなった
授業が説明的で平板になっています。
子どもの理解過程は計画しますが、思考過程が乏しいです。
指導案をみせてもらっても、指導者がどこを山場にするのかよくわかりません。
先生方は、指導案を立てられるとき、子どもたちがつまずかないように計画します。
理解しやすいように流れをつくります。
授業進行において、子どもたちの考えが止まることを避けられます。
だから山場はできません。
子どもたちの意欲は盛り上がりません。
授業の山場とは、子どもたちの思考の葛藤場面です。
子どもたちがわかったりできたりすることを阻む学びの壁です。
さらに言えば、授業者と子どもたちが全力で学び合う場です。
山場は、授業者が意図的に設定するものです。
この場面で子どもは理解困難に陥ります。
指導者が、子どもたちが学びきることができるか不安な場面です。
すぐに先生が教えないで、子どもたち自身で乗り越えさせるように導きます。(もちろん、先生が前面に立つこともある)
子どもたちの学び(話し合い、独り学習)に任せるのです。
難しいことをかみ砕いて食べさせるのではありません。
難しい問題を難しいままで子どもに与えます。
子どもの努力によって乗り越えさせます。
試行錯誤することで課題に近づけさせます。
さらに言えば、授業者と子どもたちが全力で学び合う場です。
子どもたちが理解するのに最も難しい場面です。
それを指導者はどのように子どもと格闘するかが問われます。
学問において理解することは大切です。
しかし、それよりも、課題に向かって追究する過程が大切です。
学び方は生涯を通して役立ちます。
学ぶ心、疑いながら、予想しながら、仮説を立てながら、課題に近づこうとする粘り強い姿勢を身につけさせるためです。