教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 87回 つぶやき つぶやき そして つぶやき

話し合いの育てる 発表形式 


 話し合いを活発にするためには、先生自身の話し合い活動に対する考え方、ねらいがどこにあるかを吟味します。


 一つ目は、話し合いをさせるために学習する。
 二つ目は、学習するために話し合う。


子どもの必要感からいうと、二つめのねらいになりますが、先生が、話し合いの形式を段階的に指導していくときは、一つ目のねらいになります。
いずれにしても、話し合いは学習を深めるための手段であるということを忘れないようにします。


さもないと、話し合い活動だけが目的化、1人歩きをします。
活発に話している。先生ぬきで話し合いが続いている、全員が発表できたなど
現象だけが1人歩きし始めます。
繰り返しますが、どれだけ子どもたち一人ひとりが関心、意欲を増幅させたか、学習内容を広げ、深めあったかということがポイントです。
極端な話、先生が一時間講義をして、子どもたちの目がきらきらしてきたなら、それは素晴らしいことです。
 


発表形式という観点ら考えると、最初に指導するのは、「つぶやき」です。
低学年の子は、つぶやきが得意ですが、高学年になるにしたがって、そのつぶやきが減っていきますね。


話すとは、思考することです。
つぶやきは、子どもたちが内側で思考できないので、一端、外に声をだしてみる行為です。
一年生は、つぶやきの多い授業を構成します。
最初のうちは、「つぶやきタイム」と称して、一斉に自由に先生に向かってつぶやかせます。
先生は、その声に向かって、にこにこして耳を傾けます。内容は、一斉に耳に入ってくるので全部把握することはできませんが、それよりも、子どもたちの意欲を観察します。
どうしても言いたい、聞いてほしいと必死になってしゃべっている子がいます。そんなとき、その子を指名します。
子どもが話している時、一人一人の発言を聞かないのは、子どもたちに失礼ではないという批判もありましたが、時間にすれば一分程度です。
子どもたちの内なるエネルギーの発散とその状況を把握することがねらいです。
低学年には効果があります。話なれることです


発言方法は三つぐらいを設定します。
一つは指名発言です。手のひらを仏像のように前にあげます。「挙手しなさい」というサインであり指示です。
声をださずに挙手させることが大切です。「黙って手をあげている人にあてますよ」という助言をいれます。


二つめは、「おしやべりタイム」です。ペアでの話し合いです。両手を前にだして、指を開いたり閉じたりします。終わりのサインも子どもたちと一緒に決めます。


三つめはノーサインです。自由発言の時間です。中学年以上に活用します。
これも、先生に向かって自由に発言する場合と友達同士、先生を介さずに自由に発言する場合があります。


四つ目は、全員起立して一人ずつ発言して着席します。かなりの緊張感です。子どもたちに自分だけだまっていることができないという気持ち、追い込みをかけます。ただし、これを活用するときは、誰にでもわかる内容であることが必要ですね。


五つ目は、わかったらずくに起立します。最初に起立した子が発言します。
これを使うと、子どもたちの反応が速くなってきます。





 「つぶやき」にもどります。
 つぶやき」は、高学年になるほど、内言化していきますが、指導の仕方によっては、早く内言化することができます。


 その手だては、ノートに書かせることです。
 ノートに吐き出すように書かせます。
 友達の考えを聞いて、さらに、書き足していきます。ノートをいっぱいにするぐらい書かせます。その後で、発表の場面をつくります。
ただし、ここで留意しなければいけないことは、発表の時に自分の書いたノートを見ないことです。
 見てしまうと、書いたことに縛られて、それ以上の発想や考えが浮かびません。


 よく、ノートに書かせて、それを読み上げる場面がありますが、子どもたちは、ノートを読んでいるだけで、聞き手の表情を観察していません。言い終わったら、子どもたちは、ほっとして着席しています。
音読であって、発表でも話し合いでもありません。


発表するというのは、聞き手が自分の考えをどのように受け取ってくれるか、賛成か反対かを聞き手の表情によって確認する営みです。


つぶやきからノートに書く、そして、ノートを無視して発表する。中学年以上に可能です。


 私の話は、あちこちにとぶことがありますが、実践的な内容になると、関連のあるものを引っ張りだしますので、話題からそれることもありますがお許しくださいね。


 今回は、「つぶやき」でした。できるだけ段階的にお話ししますが、子どもの実態にあわせてください。

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