教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 846回  話し合いの結果を個の成長に生かす工夫

学習や学級会等で、話し合いが活発に行なわれることがある。
しかし、子ども一人ひとりが自分自身との関わりの中で考えているとは限らない。
その結果、話し合いのための話し合いになってしまうことが多い。(職員会議でも)
話し合いの結果が一人ひとりの子どもたちに、生きて働くようにさせたいものである。


話し合いの結果を自分との関わりで考えることができるようにするためには、どんなことに留意するか。


話し合いの内容が一人ひとりの子どもたちと離れてしまっていることに原因がある。
自分にとって、さして関係がない、つながらないのである。
したがって、次のことに留意する必要がある。
一つは、 話し合いのねらいを前もって、はっきりと意識させておく。
特に、自分の願いとどのようにつながっているのかを考えさせておく。
具体的には、今、話し合われようとすることに何を期待するか、自分と関係のあることかどうかを考えさせる。(話し合いの前の先生主導による話し合い)
さらに、その課題を話し合うことで、自分にどのようなメリットがあるかを意識させる。


次に、話し合いの中で、自分の願いや思いに関係のあることが話し合われているかを関心をもって話しあいに参加させる。(当事者意識)
そのためには、先生が話し合いの中で、個々の子どもたちの願いや意見を引き出す必要がある。


さらに、話し合いの結果、自分の願いがかなえられそうか、自分にとって、どのように意味があるか、あったかを考えさせる。
要するに、話し合いの全過程において、先生が題材や話題と子どもたち一人ひとりの願いや思いをつなげることができるかどうかに係っている。


話し合いのすべて(学習、学活)を子どもたちに任せない。
たえず、子どもの思いを掘り起こして、今、話し合っていることにつなげる。

子供たちが話し合いを活発にしていると、表面的なことに目が奪われ満足することがある。
子どもは意見交換がなされている時よりも、沈黙のある時に考えを巡らせている
そこには、間合いの思考がある。
課題が深まるなかで、その内容が子どもから離れていないかをチェックする。
介入である。


話し合いの結果をさらに個の成長にまで高めていくにはどうすればよいのか。


 個の成長とは、話し合いの結果、子どもの意識が広がったり深まったりすること。
さらに、自分もその話し合いの結果に前向きに関わっていきたいと思うこと。


「お楽しみ会を開こう」という題材を例にとって考えよう。
 お楽しみ会のねらい・内容・役割分担が話し合いによって決められる。
その話合いの後に、次のことをノ-トに書かせてみるのである。
① 「ねらい」を達成するために、自分はどんな参加の仕方をするのか。 
②  「お楽しみ会」に参加するうえで、自分の楽しみはどんなことか。
③  「役割分担」で、どんな仕事を受け持つとやりがいがあり楽しみが生まれるか。


 これらのことは、学年や子どもの実態に合わせて、平易なものにしてやらなければならない。
そのためには、次のような問いかけをしてみるのもよい。
 ① 話し合った結果、どんなお楽しみ会にしたいか。
 ② あなたは、どんなことを一生懸命にしたいか。
④  みんなのために、どんなことをしてみたいか。
 次に、作文させた後、それをもとにして、班での話合いをもつ。
子どもたちの書いたことを発表させて、友達との共通点や相違点を理解しあう。


仲間の多くの願いを知ることで、自分も頑張ろうと考えるだろう。
また、相違点を知ることで、これは自分独自のものだということで、大切にしていくだろう。
そのような空気を育てていくことが大切である。


個の成長は、学級の仲間の成長に支えられて高まっていくものである。
話し合いの結果を仲間がどうとらえているかを理解しあう。
共通点も相違点も理解する。
そして、話し合いに参加することで、自分の考え方、見方がどのように変わったかを子どもたちなりに意識させる。
簡単に言うと、自分のためになったかどうかである。

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