教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 847回 学級や学校の問題に 広く目を向けさせるには

次のような相談があった。(研修会の場で)
生活上の諸問題といっても、子どもにとって身に迫る問題になっていな
いことが多い。また、子供自身が気づいていない問題の中で、学校生活
を向上させていく上で、大切な問題もある。教師は、子供一人一人の実
態をしっかり把握し、常に、学級や学校の中における問題に広く、深く
目を向けていくには、どうすればよいのか
。…相談内容


子どもそれぞれの問題を学級全体の問題にしていく工夫


まず、子どもたちの持っている学級に対する願いや問題点をだす場を設定する。
低学年の場合は、学級会の議題箱を設置したり、先生が子どもの日記を紹介したりする。
何を学級全体の問題にするかという観点は
多くの子どもが抱いている問題であるかどうか。
今の学級に欠けている問題かどうか。
高学年の場合は、議題箱や日記紹介という方法に加えて、班ノ-トや係活動での話し合い、当番活動の反省会などの場を設定することで、多様な問題を提出させることができる。


次に、それぞれの問題を学級全体の問題にしていくための方法としては以下ことが考えられる。
低学年の場合は、先生の助言で学級全体の問題にしていくことが多くなる。
しかし、なぜ、その問題を学級の問題にするかは、低学年の子どもなりに理解させなければならない。


高学年の場合は、学級全体の問題を選択させていく段階そのものが重要である。たとえば、議題箱の中に入っている意見の中から、学級全体で問題にする内容を選ばせる時を考えてみよう。
議題箱の意見を掲示させる。
そして、全員で(班で)なぜその問題がでてきたのかを話し合わせる。
その後、挙手によって、問題の優先順位を決定させる。
つまり、問題の選択をしていく過程そのものが、子どもたちの学級意識を高めていく過程そのものなのである。


高学年の学校生活に目を向けさせていくための工夫
5、6年になると、子供たちは委員会活動を通して、学校全体に目を向ける。
学校生活に広く、深く目を向けさせるためには、学級の中で、お互いの委員会の活動内容を交流させる場を設定する。
例1 「委員会活動の情報交換をしよう」
学級会を開いて、月に一回ぐらいの割合で、自分の所属している委員会の活動の内容や問題点を出しあう。
そして、自分が所属していない委員会の活動についても、活動内容を提案したり、問題点を指摘しあったりする。(常に、学校を見渡すという意識をもたせる)
また、委員会における共通の悩みを出しあうことで、運営と実行の難しさを考える。


朝の会・終わりの会での情報交換
 「学習園に草が多くなっている」(美化委員会へ)「今日の放送の音楽は、給食の場ではよくないのでは」(放送委員会へ)などの意見を毎日交換しあう場を朝の会や終わりの会の中に設定する。
子供たちの学級や学校への関心は日増しに高まっていく。
学級という組織は、常に、学校生活全体のなかで考えさせる。
自分の学級さえよければという狭い考えではだめである。
学校生活がより楽しく快適になってこそ、自分たちの学級生活も楽しくなることに気付かせる。