教育随想 85回 昼寝ができる自然学校 子どもたちを自然に放せ
各学校で自然学校が行われています。
校庭や家に植えられている植物に見向きもしない子どもたちが、果たして、お金と時間を費やして、遠くにある自然学校で過ごすことが意味のあるものなのでしょうか。
毎日の鳥のさえずりに耳を傾けるようなことが、普通にできるような子どもたちに育ってほしいと思います。
自然に向かい合うのではなく、ひたすら自然と同化、共生できるような子どもたちに育てたいものです。
一度だけ学校の理解を得て、おもしろい自然学校を試みました。
自然学校の日程は朝から夜のプログラムまでぎっしりと隙間がありません。
山間の高原の中で、ゆったりと自然にふれてほしいという思いがありました。
自然に包まれて昼寝をするゆとりがあってもいのではないかという気持ちから計画、実行しました。
自然を目と耳と肌で感じ取らせたいと考えました。
ねらいは、「みる」「きく」「におう」「ふれる」ことを通して自然を集めて自然となかよくなろうというものでした。
自然を目で集めます。
自然の音を耳で拾います。
自然のかおりを集めます。
自然を肌で感じます。
そして、自然の中で遊びます。
草の上で昼寝をして自然を感じます。
班の活動は、何もしないことも活動でした。
川のそばで水に足をつけてゆったりと過ごすこともありました。
草むらでの昼寝、草のかおりの中での昼寝人気は人気がありました。
当時は、五泊六日でした。
実りの多い秋に実施しました。
班行動です。夜の活動は別として、昼間の活動のほとんどは班で計画します。
自然学校に行く前に学校で大まかな計画をたてますが、現地に行ってから計画を修正させます。
自然を目の前にすると、やってみたいことが増えてきます。
自然学校の場所は、バスで3時間の高原です。
簡単に当時の計画をお伝えします。
1日目
昼前に現地到着。
昼食後、班ごとに現地を散策します。そうすることで、どんなことができるか、したいかを計画、修正します。
夜は、昼間集めた自然の情報をもとにして、一週間の計画をたてます。
2日目
午前 班活動① 午後 班活動②
班の活動は、内容と実施場所を玄関前にある掲示板に記入します。そのときは、先生の承認を得ます。戻ってきたら、戻ったことがわかるように印をつけます。
夜は、ナイトハイキングで、全体行動をします。全体行動は夜のみです。
3日目
午前 班活動③ 午後 班活動④
夜は、集めた情報をまとめにはいります。
全体集会で、どんなことをしているか、どこまで進んでいるかなど、中間報告をします。
4日目
午前 登山2時間
午後 班活動⑤ 昼寝をする班が多い。
夜
レクリェションとファイヤーへの出し物の練習
5日目
早朝 日の出をながめる(希望者のみ)
この時間はとても有効でした。子供たちの中には、日の出とともに起きてきた子どももいました。
午前 班活動⑤
午後 班活動⑥
この時は、情報をまとめたり、ファイヤーの練習をする班が多いです。実際にファイヤー場にいき、どうしたら全体に見てもらえるかを研究しています。声の出し方、大きさなど、実際に声がどのくらい届くかを試します。
夜 キャンプファイヤー
最終日
午前 班活動⑦ 自然とのお別れ
昼食後 バスで帰路へ
さて、班の活動ですが、一枚の模造紙でまとめるようにしました。
自然の風景を絵に表します。
そこに、拾い集めた落ち葉や木の実を張り付けます。音も書きます。
一枚の高原、山間の絵の中に拾い集めた情報でいっばいにします。
発表の模造紙は、廊下に班ごとに掲示していきます。
廊下には、自然の香りが漂っています。
ゆったりと流れる時間を感じとらせます。
天候の急変も自然の恵みであると感じます。
目的を持たせて自由な時間を与えることで、子供たちは主体的に動くことができました。
また、一つの試みとして、館内放送をすべてストップします。食事のときも自分たちで自主的に集合します。放送による先生の指示をすべて止めます。
連絡については、夜に班長を集めて連絡や話し合いをします。
これらのことは、当時の職員、先生方に理解を得られるように、安全面に配慮しました。
そして、秋の自然学校のためにどのような子どもを育てておく必要があるのかということを研究しました。4月から自然学校は始まっていました。
運動会も音楽会も大きな学校行事は、すべて4月から始まっています。
当時は、行事でどのような子どもを育てるのかということが学校の共通の課題であったからできたことです。