教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想815回 3年国語「ちいちやんのかげおくり」 指導その2

子どもたちにどのような認識の力を育てるのかを考える。


条件的な見方
戦争という条件のなかで生きる人間の行動と心情を考える力を育てる。
物語を読むとき、主人公は、一定の環境におれている。
さらに、いろいろな条件によって制約を受けている。
人間をとらえるとき、日常生活においてもな、人々は生育的、家庭的、地域的な制約のなかで生きてきている。
その背景を考えながら人物を理解していく姿勢が必要である。
目の前の見える事実だけで判断せずに、その事実の裏にある心情を感じ取れる子どもであってほしい。


仮定・予想・対比
もし・・・でなかったら」という仮定のもとに考えて深める力を育てる。
行動、場面を対比させることで、人物の気持ちをより理解できるようにする。


自分がちいちゃんだったらどうするかを考えたり、比べたりすることで、戦争の
恐ろしさについて考え、平和について考えをもつことができるようにする。
「自分がちいちゃんだったら」と考えることで、自分とちいちゃんの言動に差異
がててくる。この違いを考えることが大切である。
そこからどうしてちいちゃんは?と疑問に思うことがでてくる。


「くり返してある言葉を読む」「場面と場面を比べて、変化したことを探し出す」「似た言葉を比べて読む」などの読解スキルを習得させる。
くり返し 対比 変化 を手がかりとして読む。


作品中の挿し絵を手がかりに文章と比べさせながら、ちいちゃんの心情や
周囲の状況をつかませる。
挿絵はとても重要である。
言葉では表せない事実や心情を理解することができる。
言葉をイメージ化している挿絵を指導の中心に据えることも必要である。


第1時 物語の世界に興味をもち、時代背景、登場人物、あらすじをとらえる。
第2時 初発の感想を書いて、学習課題を明確にする。


第3時 家族みんなでしたかげおくりの様子とちいちゃんの幸せな気持ち、
  その裏に流れる切ない思いと暗い背景を読みとる 。 一場面
第4時 空しゅうで家族とはぐれてひとりぼっちになったちいちゃん
  の不安な気持ちを読みとる。              二場面
第5時 「きっと帰ってくるよ」という家族を信じて一人で待っている
   ちいちゃんの気持ちを読みとる。           三場面
第6時 一人でかげおくりをして幻想の中で家族に会えたちいちゃんの気持
    ちと、ちいちゃんの死を対比させて戦争の非人間的なものを読み
    とる。(二つのかげおくりの比較)             四場面
第7時 平和になった町には、すでにちいちゃんはいないという現実、
    ちいちゃんのあるべき幸せがそこにはないという戦争の本質を
    考える。                            五場面
第8時 感想文のまとめ方を確かめ、感じていることとその理由を書く。
第9時 感想を読み合い、似ているところや違うところを中心に話し合う。


指導計画を立てる意味は、子どもの学びに応じて変更するためである。
計画は、子どもたちの学びによって崩されていく。
ただ、授業者が何を教え、どのように育てるのかはぶれないようにする。

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