教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 811回 ランキングというフィルター

グルメランキング 観光地ランキング  避暑地ランキング ニュースランキング・・・
世の中、ランキングだらけである。
テレビやネットにおいて、ランキングをつけると視聴者が増えるからである。
私は、ランギングの調査にあたって、何人からアンケート調査をしたのだろうと不思議に思う。


ニュースランキングには、注目されているニュースが順を追って並ぶ。
人々の関心は、ランキングニュースの話題に動いていく。
その結果、人々は同じ共通の話題をもつ。
「他の人も話題にしていることなんだ」と安心感を覚える。
ランギングにおいて、共通の話題をもつことで親近感が生まれることはある。
まあ、噂話も似たものあるが。


そこに、私は疑問を感じている。
ランキングにはあがらない話題、観光地、ファッション、出来事の方に関心をもってしまう。
ランギングというフィルターをかけられることで、情報への関心が狭められている。
情報を主体的に選び取っていける自由があるというが、果たしてそうだろうか。
むしろ、私たちの情報選択範囲は狭くなっていないのだろうか。


情報は繰り返すことで、人々の脳を刺激し気もちを誘導することができる。
情報のシャワーは、脳や心を麻痺させることもあるだろう。
ランキング情報が世間の常識になって幅をきかせている。


子どもたちの思考は映像に縛られている。


子どもたちへの情報教育は必要である。
情報のメリット・デメリットを考えさせる。
すぐに情報に飛びつくことで人間を考えなくしている。
情報があればあるほど、選択肢が広がることの疑わしさ。


教育現場において、ネットを介在して調べ学習が多くなっている。
果たして、子ども一人一人にネット情報を選択する能力があるのだろうか。
選択能力がなければ、情報による洗脳でしかないのでは。
学習において、ネット検索によって映像が簡単に提示できる。
逆に、映像を提示することで子どもたちの思考は映像に縛られている。


今、理科の学習番組があるとしよう。
秋の生き物のくらしの映像である。
先に視聴させることで、子どもたちの想像力を奪うことがある。
子どもが体験的に動植物に接することが生物教育の始まりである。
情報は、子どもの足もとから身をもって、見つけ出せる学び方を育てることが大切である。
情報選択の範囲が小さくても、子どもの目の前の情報に気づき、疑問をもち、調べようとする
学習の在り方が基本ではないのだろうか。
多種多様な参考資料としての映像視聴は、そうした学びのあとにくる。

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