教育随想 770回 2年国語「スイミー」 かっこよくスイミーを登場させよう
挿絵をもとにして、あらすじをつかむ。
一言感想を持たせ、発表を通してお互いの違いを意識させる。
お話の流れをつかむことは、子どもたち一人一人の読みの入り口に立たせること。
低学年の場合、文字よりも絵を見てお話の骨格を印象的につかませる。
その前に、子どもたちを連れて物語の世界に入る。
それが書き出しの5行の文である。(スイミー登場)
スイミーの登場はかっこよい音読から始まる。
「広い海のどこかに、小さな魚のきょうだいたちが、たのしくくらしていた。
みんなが赤いのに、一ぴきだけは、からす貝よりもまっくろ。
およぐのは、だれよりもはやかった。
名前は スイミー。」(本文)
スイミーの登場場面である。
主人公の登場をいかにかっこよく読ませるかがポイントである。
小さな魚のきょうだいが、たのしくくらしていた中にいるスイミー。
「一びきだけは」スイミーの特徴を語ろうとしている。
からす貝よりも「まっくろ」と名詞止め。
まっくろを強調する。
だれよりも「はやかった」とスイミーの泳ぎを強調。
「一びきだけは」➡「まっくろ」
「だれよりも」➡「はやかった」
さらに「広い海・・・くらしていた。」は遠くから全体をとらえている。
そこからズームアップして、スイミーだけに焦点が合わされる。
最後に「名前はスイミー」とかっこよく名前が語られる。
最初の5行だけで、子どもたちを物語の世界に引き込んでいく。
遠景から近景、個をクローズアップしていく様子を音読で表現。
最後に名前が字幕のように現れる。
この場面だけでもぞくそぐするのではないか。
二人で音読を考えさせる。
一人でできるならいいが、二人の方が子どもたちは夢中になれる。
「二人でスイミーをかっこよく登場させてみよう」という課題。
あとは、二人で声を合わせて発表させる。
ここは、一人を使わないことが大切である。
一人で音読ができるかなという不安を払拭する。
子どもは自分を表現することに常に不安をもつ。
しかし、一度、表現してしまえば自信になる。
子どもたちの何組かの発表を聞く。(まず、学びの実態を把握)
そこから新たな音読の視点を与える。
子どもが気付かないところを先生が扱う。
「だけは」「まっくろ」「だれよりも」「はやかった」と強調。
その時に、次のページの挿絵を使うことで、イメージが鮮明になる。
音読は一人ひとりの気持ちを言葉にのせることである。
言葉から自分のイメージをもつことである。
だから、それぞれの音読には個性が表れる。
決して統一化しないようにする。
読み方が先行するのではない。
子どもの感じ方、想像が先行する。