教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 765回 教員採用試験に 関わって

依頼されて採用試験の指導をしていた。
個人だが、講師の方の指導である。
何年間か講師をされている。
その指導が明日で終了。


週に2回、夜間3時間の勉強。
これも縁だと思いやらせていただく。
国語、数学、理科、社会、家庭、体育、音楽、英語等の勉強。
私の苦手な分野もあったが、遅くまで勉強する。
過去問題7年間、問題集2冊に参考書。
私が受験する立場で勉強する。
私の脳内の動いていなかった領域が刺激された。


さて、私が、その先生の採用試験につき合おうと思った理由がある。
もちろん、正教員になってほしいからである。
しかし、結果はわからない。
結果よりも、その先生の学びの姿勢を育てたかったからである。
私も教えることで自分を育てられる。
以下簡単に指導したことを書く。
その先生の苦手な面と問題点を見つけながら指導する。


国語の長文読解の速度が遅い。
眼の動きが遅い。
時々、大切な言葉を飛ばして読むことがある。
問題文の音読を実施。
古文、漢文も他の参考書から引っ張りだす。
目よりも耳からの入力のほうが得意である。


熟語、漢字の読み等については、漢字の幅が狭い。
漢字を広く知ることが教材研究の幅を広げることにつながる。


社会
歴史が苦手ということ。
特に、日本史が理解されていない。
言葉は知っていてもその概念、イメージが伴っていない。
縄文時代から現代にいたるまでの出来事のイメージがない。
そこで、NHK高校講座をもとにして、時代背景と流れをつかんでもらう。
知識を知ることは、その背景にイメージをもつことである。
内容の暗記の仕方も小学生に指導することも含めていろいろと提案。
それぞれのメリットとデメリットを理解。
子どもたちに宿題をだしているが、実際に先生がその立場ですると、子どもの気もちが理解されたようだ。


理科
物理と化学の分野を重点的に指導。
この場合も「電磁気とは」「化学反応」の概念を理解できるようにした。
季節の動植物のくらしを小学校で教えているが、その背景がどれだけ広く、深いかで子どもたちの学びが変わってくることに気付いてもらった。
本格的に高校の参考書で勉強する。
その上で小学校の理科の教科書を眺めると、違ったものが見えてくることを知る。


数学、関数、図形、確率に重点。
算数にどれだけ役に立つかという疑問を持たれた。
しかし、そうではない。
問題に取り組むと「わからなさ」があらわれる。
その時、何がわからないかを明確にすることが難しい。
わからなさを把握することが数学の学びである。
私も時々、解決に時間のかかった問題があった。(脳力低下)
しかし、楽しいものである。
仮説を立てて何度も考えなおすことが教材研究の力である。


この勉強で、強く思ったことがある。
教材研究は、それに関わる背景の学問を必要とすること。
それが限りないということ。
一時間の授業のために、教材研究に何倍もの時間をかけること。
小学校の教材ほど、先生の学問的背景の深さが子どもの学びを深めていく。

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