教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 78回 聞く姿勢は、聞かせる姿勢から 

子どもを鍛える最初の指導は「聞く子どもを育てる」ことから始めます。


聞いている子どもを見ると、体や目の動きが停止しています。
聞いていない子どもは、体のどこかが動いています。
聞いている子どもは、椅子に座っていても前傾姿勢です。
聞いていない子どもは、背もたれに自分の体を任せてしまっています。


子どもたちに聞く姿勢を育てるとき、先生は、聞かせる姿勢で臨む必要があります。子どもたちに話しかけるとき、教室全員の子どもたちと目を合わせます。見わたします。アイコンタクトが必要です。


子どもたちのまなざしを自分にひきつけてからゆっくりと話します。
先生は、すぐに話し出すのではなく、間をとってその中に子どもたちを入れます。
子どもたちがしゃべっているときに話し出すことは、話してもよいと先生が子どもたちに許可しているのと同じです。
公園などに行くと、校外学習の団体に出会います。先生は、子どもたちの私語に関心を寄せることなく、ひたすら、しゃべっています。トォークではなくスピーチですね。


音楽会の練習、合唱の指揮。私は、子どもたちと一人ひとり目を合わせます。全員のまなざしが一点に集まったとき、指揮棒を振り始めます。これも子どもたちに聞かせることです。


子どもたちに「聞きなさい」「しっかり聞きなさい」という指示をだしても、先生の話がつまらないと、子どもにとっては期待はずれになります。
子どもたちが意識を集中させて聞く姿勢を育てるには、先生の話し方とその内容が問われています。


先生の話し始めはとても大切です。
多くの先生が話し始めるのを聞いていると、最初から、先生の言葉が子どもたちの頭の上を滑っています。それでも、よい子の学級は、聞いているふりをします。
先生の最初の言葉は、説明文でいえば題名、新聞でいえば「見出し」ですね。


最初の一言で子どもたちを引きつけるような言葉を考える必要があります。


話している時の先生の間は重要です。 聞くというのは、聞き手の頭の中に話し手の情報が遅れて反復します。
 「今から勉強を始めます」と先生が言ったなら、子どもたちには、少し遅れて「今から勉強を始めます」という情報が伝わります。この少し遅れる時間、少し遅れて伝わる時間が、話し手の間をとる時間です。
低学年ほど、間を長くとることになります。


明日の予定や行事、準備物などは、一回だけ話します。先生は、二度話しません。繰り返して話す習慣ができると、子どもたちは、一度目をいい加減に聞いてしまいます。「一度だけ」という原則を守ります。
 そして、子どもが聞き逃したら「もう一度、言ってください」と言わせるようにします。わかりにくい点があれば「先生、こういうことですか」と確かめさせるようにします。話し手よりも聞き手の子どもたちが主体なのです。


子どもたちをよい聞き手にするのは、先生次第ということになります。

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