教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 732回 3年国語「きつつきの商売」 音の世界から映像へ

3年の国語の物語文教材に「きつつきの商売」という作品がある。
この話の中心は、「音」である。
自然界の音を紹介するきつつきの商売。
視覚に偏りがちな子どもにとって、耳から入る音を通して、自然の世界に引き込まれていく動物たちの姿を新鮮に感じるにちがいない。


「きつつきの商売」の指導の流れについて書く。
それを通して、子どもと教材(作品)をどのようにつなげていくかを考えてみたい。
稚拙で我流な指導案であることをお許しいただきたい。
指導案の根底には、子どもと教材をいかにしてつなげるかというねらいがある。
授業者は、教材と子どもとを橋渡しする役割にすぎない。
決して、指導者の一方的な教材解釈、価値観を押し付けるものではない


国語に詳しい先生の授業は、得てしてご自分の解釈を理解させたいという下心が働く。
この作品は、こう指導すべきであると言われる。
子ども論よりも先に作品論が優先されていることがある。
目の前の子どもたちが将来生きていくために、どのような力を育てることが大切であるかを仮説的に実践するしかない。


単元目標にあげられていることは三つである。
(1)「登場人物の行動や気持ちを叙述をもとに捉えることができる。」
叙述とは、物事の事情や自分の考えなどを、順を追い臨場感をもって書き記すこと。
    文章事実を順を追って忠実に読み取る力を育てるということ。
      文章から離れたところで、登場人物の気持ちを読みとらないこと。


(2)「文章の構成や内容の大体を意識しながら音読することができる。」
   三年生の子どものなかには、文節単位で読めない子どもがいる。
   上手な子どもは、文の前後、段落の前後を意識して盛り上げるように音読できる。
   「盛り上げるように」とは感情を切らないで音読できることである。


教材について
場面という学習用語が初めてでてくる。
この物語は、2つの場面を対比させて展開している。
晴天時と雨天時である。
会話文、擬声語、擬態語などの声に出すことで、楽しくなる表現が多くてでくる。
音読を楽しむためのよい教材である。


教材のテーマか「音」になる。
豊かな音の世界に気づくきっかけをつくればよい。
子どもたちは、目でみる映像の世界に慣れきっている。
ビジュアルの世界である。
その反面、見えないものに心を向けて想像を膨らませる力が弱まっている。
音という見えないものから、心のなかで視覚的に想像できるようにする。


授業展開の核
「場面の様子を思いうかべ、音読しよう」という目標が挙げられている。
新しい教科書では、「読んで、想像したことを伝え合おう。」に変更になっている。
場面の人物の言葉や行動を通して、人物の気持ちを想像することができる。
音読を繰り返すなかで、自然に場面の様子が想像できる。


登場人物の言動を叙述に即して読み取り、場面の様子を思い浮かべることができるようにする。
「音」耳にした登場人物の動物達たちの言葉から、自然の世界に入ることができる。
音読を中心として、音のおもしろさを味わって作品への親しみを増すようにする。
読み深める➡音読➡読み深める➡音読 読みと音読をセットにした学習を進める。


指導計画
第1時 登場人物の場面設定などあらすじをつかむ。
     リード文から物語の概要をつかむ。
     学習の見通しをもつ。
     読んだ感想を一言ずつ交流する。
     ノート指導
     ★ノートの書き方を最初に意識づける。
第2時 漢字や言葉の学習の仕方を理解する。
      ➡ノートにていねいに漢字や言葉を書く。


〇場面ごとに登場人物の様子を思いうかべる。
第3時 「おとや」というお店をだしたきつつきの気持ちを想像する。
第4時 ぶなの音を出すきつつきとそれを聞く野ウサギの様子を想像する。
第5時 店の評判を聞いてやってきた野ねずみの家族の音を聞くまでの様子
     を想像する。
第6時 とくべつメニューの雨の音に包まれて聞いている野ねずみの家族の
     様子を想像する。
第7時 群読にしてこの作品を楽しむ。
第8時 きつつきの商売の3の場面を作り紹介しあう。


音読から群読にもっていくと、子どもたちをさらに引き込んでいける。
音から人物の感動の言葉、音読からイメージを広げる群読へ。

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