教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 690回 4年 国語「初雪のふる日」  指導計画

1.ねらい
 場面の移り変わりに注意しながら、登場人物の気持の変化、情景などについて叙述をもとにして想像して読む能力を育成していくものである。


重点➡読後感を大切にして、その根拠を読みとらせる能力を育てる。
          読後感を感性を大切にして一言で表す。


書いてあることを根拠にして、子どもたちなりの想像を広げたり深めたりできるようにする。さらに、行間、語感をも大切にする。


指導過程として
まず、①読後感➡②根拠を見つける➡③様子や気持ち、情景を想像


2.教材について
物語が絵巻のように展開されている。
ゆっくりとした始まりだったものが、うさぎの登場によって一気に息もつかぬ展開になるという構成で、読み手を引きつけている。


取るに足りない遊びが、実は取り返しのつかない事態を引き起こすという出来事の起こりは、怖さを醸し出しており、読者に不安感を抱かせる。


石けりの際の歌は、物語にテンポを与えるだけでなく、場面の様子を表す役目もしている。
暗い雰囲気の場面では、場面を引き締める役目があり、明るい場面では、場面の開放感を示す役目を果たしている。


どうしてうさぎが女の子をさらうのかという疑問は最後まで解明されていないが、よもぎの葉によって女の子が助かるという終わり方は、さわやかな印象を読者に与える。


読み方の核として、ひたすら主人公に寄り添って、子どもたちも同じ体験をさせることで、はらはらどきどきの心情に迫るようにする。
読後感がどの言葉から起因しているのかをとらえることが最も大切である。
そして、それをもとにして、自由に想像できる世界に子どもたちを連れていきたいものである。


3.教材の構成
始まり
 女の子が石けりの輪を見つけて石けりを始める。
物語の導入であり、時期や登場人物、初めの状況が書かれている。
だれもいないところに、どこまでも続く石けりの輪を見つけた女の子が、その輪にどひこんでいくという物語の動き出しが描かれている。
季節が秋から冬に向かう中で、女の子の身に何かが起こる予感を読者に感じさせる。


不安
 女の子は、石けりに導かれるようにして石けりを続ける。
いつのまにか、うさぎたちの列に迷いこむ 雪が降り始め激しくなるにしたがって、女の子が異世界に入り込んでいく様子が描かれている。うさぎが登場し、いよいよ女の子に事件が起ころうとしている。


恐怖
女の子は、おばあさんの話を思い出し、うさぎの正体と今置かれている状況を理解する。 女の子がおばあさんの話を思い出すのが中心である。
ここから女の子自身も、読者も何が起こっているのかを知ることになる。
「世界の果て」「小さい雪のかたまり」「さらわれてゆく」など、女の子の今、そして、今後を想像させる言葉を手がかりにすることで、女の子の恐怖が理解できるだろう。


恐怖 
P.128 L2 女の子は、うさぎから逃げる手段を思い出すものの、それを実行することができない。 うさぎから逃げる手段を思い出したが、うさぎの歌に邪魔されて抜け出せずにいる女の子が描かれている。
群れに巻き込まれて、どんどん状況が悪化している様子が読者に伝わる。
 5


さらに恐怖 
やめられない石けりのせいで、女の子は遠くの町まで来てしまう。
 だれにも気づかれずに遠い所まで来てしまった女の子の孤独が感じられる。
そして、女の子がだんだんと衰弱していく様子が、場面に暗い雰囲気を醸し出している。


山場 
よもぎの葉を見つけた女の子は、たくさんの草の種に励まされるようにして、よもぎのおまじないを唱える。
 石けりの途中で見つけたよもぎの葉をきっかけに、女の子は元気を取り戻す。
それまでの不安を感じさせる言葉、表現とは一変して、色・におい・音などに暖かさを感じさせる表現が増え、劇的な変化と、この状況から脱出できそうな予感を読者に与える。


日常に戻る
 知らない町で気がつき助けられる 激しく降っていた雪も収まり、石けりの輪も消え物語がハッピーエンドを迎える。
自分の村に帰ることになる。 あたたかいものを食べさせてもらい、バスで送り帰されることになった女の子の様子から、冒頭の場面とは対照的な温かさと安心感が感じられる。


4.指導計画
場面ごとに、言葉にこだわりながら登場人物の心情、場面の様子を読み取らせたい。


第1次 学習の見通しと読みとるための準備
  第1時 全文を読んで初発の感想をまとめる。
  第2時 あらすじ・学習課題設定と計画


第2次 場面ごとにくわしく読む
  第3時  ①場面を読み深める。
   第4時  ②場面を読み深める。
    第5時  ③場面を読み深める。
     第6時  ④場面を読み深める。
第7時  ⑤場面を読み深める。
       第8時  ⑥場面を読み深める。
        第9時  ⑦⑧場面を読み深める。


第3次 最初の読後感と比べて、感想をまとめる。
第10時 最初の感想との違いをまとめる。
     班で感想を読み合い、その類似点と相違点をだしあう。
            ※似ているところ   ちがうところ の2点を確かめる。

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