教育随想 7回 子どもたちが 先生を育てる
いよよい最後の週になりましたね。
子どもたちと別れるのはさみしいと感じることもあるでしょう。
やれやれ、しんどかったなあ、やっと別れられるというほっとした思いもあるでしょう。
もう一年、子どもたちを担任したら、どうなるのだろうという想いにふけることもあるでしょう。
ここまで子どもたちが成長したと思う先生は、もう一年引き続き担任したいと思うかもしれません。
先生という仕事は、子どもたちによって先生になります。
子どもたちがいなくなると先生ではなくなります。
子どもたちの力によって、先生としての立場が保たれています。
医者が病院を開業しても患者が一人もこなかったら、医者ではなくなります。もちろん、資格をもっている医者としては存在しますが。
患者が「先生、調子がよくないので診てください」と、診察室にこられたら、医者になり、医者としての仕事ができます。
先生の仕事もよく似ています。
先生あっての子どもではなく、子どもあっての先生です。
当たり前のことですが、その意識をしっかりと自分の中に持ち続けるのは難しいです。
やがて、子どもが成長してくると、先生としての仕事に少しばかり自信を持ち、私がいるから子どもは育ったのだと思うことがありました。特に、若い時はその傾向が強かったです。
若い時は不安も大きかったですが、実践がうまくいくと、自分に自信が生まれると、少しばかり天狗になってしまうこともありました。
でも、ちがうのですね。
子どもが自分を先生として育ててくれたのです。
特に、問題になる子どもを相手にすると、その子どもとともに育つことができたなら、その子どもが私を先生にしてくれたと思いました。感謝する子どもたちです。
ですから、最後に子どもたちとお別れするときは、「ありがとうございました」という挨拶で終わりました。