教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 67回 「ふだんの授業」を「いい授業」にするには その2

多くの先生が、日々実践しておられることをお話しします。私たちの若い頃は、職員室で教材研究の話も少しはしていましたが、いつしか、ほとんどしなくなってきたように思います。当たり前のことで申し訳ありませんが、やはり、基本だと思うのであえてお話します。



若い時に先輩の先生から教えを受けたことは三つです。
まず、しっかりと自分の目で、頭で教材研究をすること。
次に、相手の子どもについての児童理解の研究、そして、三つ目は、指導技術、教科教育法ですね。
これから少しずつ、私の勉強した経過をお話しししていきます。先生方は、すでに実践されていることばかりだと思いますが、それでも、自分流の研究もありますのでお話します。
教材研究で最も基本的なことは、子どもと同じように教科書をじっくりと何回も読むことです。
すぐに指導書やネット指導案に飛びつかないことです。自分の力はつきません。



新年度、教科書を手にしたとき、上下巻とも最後まで読みます。
ざっとでいいですから、どのような学習がどのような形で提示されているかを把握します。学年教材の全体を俯瞰します。
教科書は、学校用ではなく個人で入手します。多くのメモが書けるようにするためです。一年間が終わると、教科書はメモと赤線でいっぱいになっています。



単元全体の勉強は土、日曜日を使ってします。一週間分の研究をします。
まず、教科書をていねいに読むことです。
一単元分を読みます。
算数では、子どもと同じように教科書を読んで例題、類題を解いて教科書に書き込みます。
特に、ヒントになるような小さな文字や囲み記事に注意します。


この単元は、なにができるようになればいいのか、そのために、どのような原理原則を学ばせるのかという点について整理します。
本来は、毎回、指導案を書ければいいのですが、そのような時間はありませんね。
子どもがつまずくだろうという指導困難点を見つけておきます
この本時の学習では、今までのどのような学習が使われるのか、そして、今回は、どこが新しい学びなのかを考えます。


指導の手順は、「わかる」「できる」「なれる」の学びの手順を原則にします。
あるいは、独りで「問題をさぐる」そして友達と「ねりあう」さらに「全体で深める」という形もあります。


理科では、教科書を読みます。
どのような科学概念の形成を求めている学習なのかを理解します。
実験では、なにを調べようとしているのかを考えます。それから、準備物についても検討します。


概念形成のための理科の学習では、教科書の実験だけで十分なのかを考えます。確かめ的な実験にならないようにします。
また、その単元が全学年を通して、どのようなつながりがあるのか、教材の配列にも注意します。
社会でも基本は教科書を読むことです。ただ、ほかの教科と異なる点は、資料を他かから引っ張りだしてくることです。
教科書の資料(グラフや写真)を検討します。
その資料でわかることをできるだけ多く書き出していきます。そして、この資料ではわかりかねることもだします。さらには、もっと知りたいと思うことはないか、どのような資料を用意したらいいかも考えてみます。
社会は、資料をさがしだしているとついのめり込むことが多いですね。個人的に疑問やもっと知りたいことがあふれてきます。


社会は、子どもたちに抽象的に考えさせるのではなく、日常生活の中、その延長で見つめていけるようにしたいものです。
写真やグラフからいろいろな疑問がでてきます。それは、空間を切り取った限られたものだからです。
より大切なことは、写真に写っていないことは何か、グラフの数値では読みとれないことは何かを考えます。
これは、指導者が考えることです。



国語、特に、物語や説明文は何回も読みます。 物語文は、指導する一週間前から何回も読みます。(教材によっては一か月前から)
それは、読むたびに新しい発見があるからです。個人的におもしろいと心底思うまでは、教材として子どもたちの前には出せません。
飲食店の人が、自分のつくるものが本当においしいと思うまではお客にだせないのと同じですね
読むたびにひっかかる文を線引きしておきます。最初は黒で引ますが、最終的には、ここがと思うところに赤線を引きます。



教材を読んで次のことを押さえます。
教材のどこに魅力を感じるか(先生、子ども)
教材を読んでどのような指導が頭に浮かぶか。
教材でどこをおさえればその指導ができるか。
さらに。その教材が学問体系のどこにつながっていくものか。



次回もこの続きで書きます。

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