教育随想 63回 ネット依存
ある習慣が行きすぎてしまい、その行動をコントロールすることが難しくなってしまいます。その行きすぎた行動のために、健康問題や社会的な問題を引き起こすことがあります。
カジノをつくるかどうかという国会の問題において、ギャンブル依存が取り上げられています。
アルコール依存、ニコチン依存、覚醒剤依存などもありますが、ネット依存が大きく取り上げられていないように思います。
ネット依存は、明らかに青少年、若者の問題でもあります。
ネット依存とは、「インターネットに接続されたパソコンやスマホ、ケータイなどのIT機器の過剰な使用によって、健康問題や社会問題が生じるような病的症状」をいうそうです。
依存症にかかっている人はどのくらいいるのでしょうか。
中高生が約52万人、成人が約271万人にのぼります。しかし、日本では、ネット依存症は、病気として認められていません。韓国では、すでに病気として認められ治療も行われています。
国立病院機構久里浜医療センターのネット依存外来を受診した患者の実態を抜粋します。
例1
中学校のとき、オンラインゲームに夢中。学校には欠席、遅刻。注意すると、目の色を変えて暴力。
例2
高校時代からオンラインゲーム。一日16時間。
例3
患者は男6:女1ぐらいの割合で男子が圧倒的に多いということです。これは、ゲームの内容が男性をターゲットにしているからです。
例4
LINEというチャットで、すぐに書き込みに返事をしないと仲間はずれされるので、夜中ずっとやり続けるようになり、朝起きれなくなって登校できない。
ここで一番の問題は、「脳内汚染」(岡田尊史)
によると次のようなことです。
「ゲームによって、興奮性の刺激にさらし続けられた結果生じることは、神経細胞の燃えつきである。感受性低下による感覚麻痺、それに伴う無気力、無関心である。・・・反面、ある面においては、過敏で気分が変動しやすく、些細なことに対しても攻撃的で衝動的な反応が起こりやすいという状態を伴う。感じない心と
きれやすい心が同居することになる」
前頭葉が働かなくなるそうです。適度のゲームはリフレッシュできるのですが、そこに執着し始めると問題が起こるようです。
話は少し変わります。
若者が歩く時、食べる時、片時もスマホを手放さない様子をみるにつけ不安を感じていました。
いつも誰かとつながっていたいという気持ちが、やがて、その循環からでられなくなっている若者を知っています。
ネットは情報源としては有効なものです。
しかし、同時に関係のないものまでも入ってくることは確かです。
ネット情報は自由に手に入れられるのですが、同時に、得ることで不自由になっているとも言えます。
情報がなければ、先入観なしに物事が考えることができますが、ネット情報を得ていることで、物事を自分の素肌で感じることができにくい状態になっているかもしれません。
ネットは思考する手段としてのヒントであっても、最初から、ネットに答えを求めてはいけないように思います。考えてから答えを求めるのはいいと思うのですが・・・。
子どもたちが資料をネット検索求めるに時にも同じようなことが起こっています。