教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 587回 話し合い指導、先生が聞き方の一例を示す

ペアによる話し合いの指導の在り方をお話してきました。
形式的な指導であってもいいです。
大切なのは、その形式的な指導において、指導者が根拠をもっていることです。


話し合いは、お互いの思いを理解し合うことです。
しかし、それは、いつも誤解し合っているという前提があります。
大人同士の会話においても、自分の思いが誤解されて伝わっていることも多いです。
反対に、相手の思いを正しく理解していないのではと不安に思うこともあります。


話し合いのなかで、お互いの考えを理解しあうために必要なことがあります。
「聞き返す」と「聞きただす」です。

「聞きかえす」
話し手の声が聞き取りにくいことがあります。
声が小さくて聞き取りにくい時
「もっと大きな声で言ってください」と聞き返します。
この言葉は、話し手の欠点を指摘してしまうので、全体の空気が硬くなります。


「ごめんなさい、もう少し大きな声で話してもらっていいですか」
「ごめんなさい」という言葉を入れることで、聞き手も聞き取れなかったことに対する反省を示します。
話し合いは、意思疎通の場であると同時に、雰囲気をつくる場でもあります。


先生の語り口が厳しいと教室内には、どうしても重い空気が漂います。
授業参観でそれぞれの教室の廊下を歩くだけで、その教室の空気が流れてきます。
それは、主に先生の話し言葉がその雰囲気を作っています。


聞き手が聞き返すとき、「ごめんなさい」「ちょっと言ってもいいかな」などの言葉を添えるように指導します。
そうすることで教室の空気が和らぎます。


「聞きただす」時も同じです。
話し手の考えがわかりにくい時に、分かりにくかったこと、聞き逃したことを質問します。
この時に、「わかりにくいのでもう少しわかりやすく説明してください」と、子ども同士で指摘しあっては、雰囲気は一瞬にして暗くなります。


そこで、先生が子どもと対話を通して、どのように聞けばいいかをやって見せます。
子どもの発表や意見がだされます。
「○○くん、もう一度話してもらっていいですか。」
「ごめんなさい、聞き取れなかったので、もう少しゆっくりと話してもらっていいですか」
「○○君の言いたいことは、こういうことですか」
「これについては、もう少し詳しく話してもらえませんか。」


このように、先生が聞き手としての姿勢を示します。
話し手が話している時に、決して途中で話を折らないようにします。
聞くときには、相手の顔を見て、小さなうなづきをいれます。
大きなうなづき、大げさにうなづく学級がありますが、話し手にとって迷惑です。
話し手に、「私は、あなたの意見を聞いているよ」というメッセージを伝えることが目的です。
声に頼らないようにします。
目でうなづく、首でうなづく、身体を前に乗り出してうなづく・・・。

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