教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想  60回 指導には 副作用がある

宿題を忘れたら居残り


果たして、指導かどうかは疑問ですが、よくある場面です。
先生としては、宿題を最後までさせたいという強い思いがあります。
怠けている子どもが許せません。
忘れた子どもは、友達が下校するのを横目でみながら宿題をすることになります。
宿題はさせることはできます。
その副作用はないのでしょうか。
宿題を忘れるということは、勉強が嫌いで苦手なのです。
その子を拘束して、宿題をさせてみて果たして、学習効果はあるのでしょうか。
一時的には、するようになるでしょう。友達と一緒に帰りたいからです。残されるのは、屈辱的に思える子供もいるでしょう。友達にからかわれるかもしれません。
ただし、子どもに対して強制的に指導するときは、その結果、子どもにとって、「勉強がおもしろい」「やってみると楽しい」という思いを残すことができれば成功ですね。
したがって、勉強を強制する時は、その結果において子どもを納得させる見込みがある時には有効です。


シールで頑張れ


お買い物シールなら必ず、自分にとって利益になるという見通しがあります。
シールは一時的には、自分の実態を友達と比較させる時に効果があります。
忘れ物調べも友達と比較することで、自分の事実を客観的に眺めることができます。発言シール 頑張りシール あいさつシールなど。


しかし、長期間にわたるとどうでしょうか。
シールが目的化して先生の指導内容から離れていくこともあります。シールは競争効果があるので有効に働くことはありますが、子どもたちの差が大きくなりすぎると、意欲が乏しくなる子が出てきます。
シールで始めたなら、次には新たな視点にたって競争させるものを考える必要があります。


たとえば、宿題シールの場合です。
宿題を提出したらシールではなく、したくなかった日はシールをはるとか、いやいややってきた日はシールをはるとか、子どもたちの負の面をクローズアップします。そうすることで、先生も子どもたちも自分の本音を出し合えるようになります。


発言シールも同じです。
発言してよかった時、発言したかったけどできなかった時、発言しなくてよかった時など、その時々の気分を出し合うのもいいですね。
要するに、シールをはる観点をいろいろと変えてみると効果的です。


低学年、聞く時は後ろに手を回せ


手遊びをしないで集中して聞かせるときに使われることがあります。
手遊びが本当にいけないことか考える必要があります。
その子にとって、自分の思いが手の動きとなってでてくることもあります。また、手を後ろに回さなければ聞けないというのも実際的ではありません。


学校の指導やしつけが、実社会でも通用するものでなれば意味がありません。
また、後ろに手をやっているからといって聞いているとはかぎりませんね。
低学年の子どもたちは、机の下の足が動いています。
どんなに行儀のよい学級に見えても、机の下を見ると、ごそごそと足が動いていることがあります。
低学年の授業参観は、机の下の足の動きを見ると、子どもたちの集中度がわかります。


発言方法、挙手発言も必要な時に応じて使い分ける必要があります。
実社会では、手を上げて話し合うことはありません。挙手は質疑応答のみです。
挙手しながら話し合うのではなく、基本は、自由発言にあると考えます。
指名なし、挙手なしの自由な自然な話し方を学ばせたいです。


挙手発言の副作用はなんでしょうか。
話し合いに使われると、集団思考がとぎれることです。
ただ、自由に発言すると話し合いに参加できない子どもがでるという意見がありますが、挙手発言でも参加できない子どもはでてきます。


どんな指導も先生が考えたもの、目の前の子どもの事実から浮かんできたものならば、一度、実践することをお勧めします。決して、周りの先生に「だめ」と言われても実践してください。
実践することで指導の効果と副作用を発見してください。
そのことが先生の実践力の源になります。
一つの指導方法を実践するとき、副作用を考えると同時に、実践期間をいつまでにするかを決めておきます。
うまくいっているからといって長期に渡って使われないほうがいいと思す。
うまくいっていると思われるときは、すでに下り坂になっているからです。
常に、目の前の子どもたちの事実に目を配り、そこにある小さな問題点を見出すことが大切だと思います。
これでよし、という場面はないわけですから・・・。

×

非ログインユーザーとして返信する