教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想578回  道徳指導 負の感情からスタート

係を決めて、子どもたちの活動の準備が進められていることでしょう。
3年の道徳教材「係の仕事に取り組むときに」(光村図書)を参考に係活動の在り方を考えます。


主人公の真由が一生懸命係活動にとりくんでいましたが、ある時「めんどうだな」という言葉を漏らします。
この言葉が指導の原点になります。
みんなの意見を聞いて絞っていくのがむずかしいから、めんどうだなという言葉を発しました。


指導目標では、そのような真由の在り方を通して
係の仕事の大切さを考えさせようとしています。
そして、みんなのために働こうとする実践意欲と態度を育てることをねらいとしています。


今の子どもたちは、自己主張が強いです。
自分の主張が個性的であると意識している子もいます。
これは、大人社会も同じです。


係活動は集団寄与の仕事です。
集団、みんなのために役立とうとして働くことです。
個人の楽しさを求めるクラブ活動とは異なります。


学級の生活が楽しくなった。
学級が明るくなった。
学級生活が便利になった。
友だちの喜ぶ姿を目の当たりにすることが係活動の醍醐味です。
友だちの幸せを通して自分の幸せとする姿勢を身につける機会です。


係活動は「みんなの役に立つ」ことをめざします。
どうしたらみんなの役に立てるかを考えさせます。
自分の満足が先にあるのではなく、みんなの心を満たして、自分も
幸せを感じられるような係活動を大切にします。


だから、自分優先の子どもたちにとっては、係活動は「めんどうだな」という
気もちがわいてきて当然なのです。
この「めんどうだな」と思うことを具体的にだしあうことから授業を始めます。
そうすることで主人公の真由さんの気持ちに歩み寄ることができます。


道徳は、人間の行動様式を子どもたちに一つの制服として着させる試みです。
しかし、制服は、理屈で無理やりに着させるものではありません。
制服(道徳的行動)を着るのを拒否する子どもだっています。
拒否する子どもは、自分の気持ちを大切にしようとします。


道徳の指導の場合、良いことですね、そうするべきですね、それが正しいのですよ
という指導で子どもたちに一定の制服を着せようとすることが多いです。


そうではなく、どの道徳教材においても、子どもたちの負の感情が出発なのです。
「本当にそうするべきか」「本当に正しいのか」という疑念を持たせることが
大切だと考えます。


さらに、言います。
幼い時から自分の行動や考え方を疑ってみる姿勢を育てます。

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