教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 577回 学習技能目標は、人間目標の手段として

学習技能の習得は必修事項です。
決して軽んじるわけではありません。
しかし、どの教科においても、教材指導には二つの目標が含まれています。
学習技能目標は中距離目標です。
人間目標は、長距離目標です。


ここで、3年生の国語「山小屋で三日間すごすなら」という教材を通して考えてみます。
単元目標として次の内容が挙げられています。
◎比較や分類の仕方を理解し使うことができる。
 ◎目的や進め方を確認して話し合い、互いの意見の共通点や相違点に着目して、考えをまとめることができる。
 〇目的を意識して、集めた資料を比較したり分類したりすることができる。


この目標は学習技能目標です。
ところが、このなかに、人間を育てる人間目標があります。
それは、「互いの意見の共通点や相違点に着目」という部分です。
この教材は、子どもたちが山小屋に泊まることを前提として、したいこと、それに関わる持ち物についての話し合いを通して考えるさせる教材である。


この学習のなかの「互いの意見の共通点や相違点に着目」することが難しいです。
なぜなら、その前に、お互いの考えを聞いて、受け入れていく姿勢が必要だからてす。
どのような意見も最後まで理由を聞いて認め合うというやさしさが大切です。
しかも、全員、この場合は班活動が核になるので、班員すべての意見がだされなければなりません。
山に泊まってしたいことを発表する場面では、子どもたちは、自分の意見をとおしたいものです。
声の大きい子、積極的な子の意見が優先される可能性があります。


そこで、この教材の指導にあたって留意すべきことを以下の通りです。


考えを広げる話し合い、考えをまとめる話し合い、その方法を学ぶことを
主たる目標とする。(学習技能目標)
広げる、まとめる過程において、お互いの考えを認めあうという優しさが必要。
認め合うとは、友だちの考えを最後まで聞いて、その根拠を思いやること。
(人間目標)


班で多くの意見が発表する時、まず、全員がしっかりと自分の意見を
だせる空気が必要である。
  
指導計画として
 第1時 ねらいをつかんで、したいことを出し合い、班でまとめる。
 第2時 班で決めたことを実行するための持ち物を決める。
 第3時 班での話し合いの結果を発表する。
      どのような考えの違いがあったかを発表する。
指導において
第1時 
班でしたいことをすべて出し切る。
広げられた内容を3つに絞る。
(持ち物が全体で5つという条件があるので持ち物を制限)
班でだされたものを3つに絞ることは容易ではありません。
3つに絞る時の視点を与えます。(子どもたちだけではうまくいかない場合)
①したいことを多い順で3つ決定するか、それとも、山小屋の環境の中でより楽しいことを考えた意見をとりあげるか。
②内容に偏りがないか。
③全員が納得しているかどうか。


全体の場で、各班からの決定事項についての発表をします。
班で決めたことを全体に発表する。
どのような意見の違いがあったか。
どのようにして3つにしぼっていったかを発表する。
話し合いの結果、したいことを決めることが主たる目的ではありません。
決める話し合いを通して、どのような問題点があり、それをどのように乗り越えたかを発表することが大切です。
もちろん、これらは、高学年の学習場面でも多く見受けられます。
その学年の力に応じて指導します。


話し合いとは、お互いの人間を理解し合う営みです。
お互いを大切にしあう営みです。
そのことが他教科の学習、学級生活に生かされるようにします。
だから、この学習だけとっても、真剣に子どもたちを指導すれば、生徒指導は
補助的なものになります。
私は、授業をしっかりとすれば、生徒指導は副次的なものです。

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