教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 550回 異年令との関わり 困惑から

子どもたちが学校で話しているのを聞くと、それぞれの子どもの言葉に相違がみられます。
その子どもの家庭環境の影響が子どもの言葉となって表れています。


親子の会話が多い子どもとそうでない子どもとでは、言葉に相違が表れます。
年上の人と話す時の配慮や気遣いが違っています。
親の仕事や趣味によって、子どもの言葉に相違が表れています。
親の仕事や趣味に関わることを通して、視野が広がっています。
会話の話題に豊かさが表れています。
祖父母と同居している子どもの言葉はやさしいです。
兄弟の人数の多少によっても違ってくるのは当然です。


私は、子どもたちが異年令の人々と関わる場を大切にしてきました。
一つは、高齢者との交流です。
老人ホームへの訪問です。
高学年になると、年に二回、訪問させていただきました。
年令差が大きく違う人々との交流は、子どもたち自身の困惑から始まりました。
30名ほどおられる施設に伺いました。
子どもたちは、そこにおられるお年寄りに話しかけていました。
ところが、どのように話しかけていいかわからない子どもが多かったのです。
お年寄りの前で緊張して何も言えない子どももいました。
しかし、お年寄りの方が、子どもに歩み寄られて話しかけられました。
子どもたちは、少しずつ安心していきました。
家に祖父母と住んでいる子どもは、難なくホームの雰囲気に入っていきました。


お年寄りによっては、質問してもちぐはぐな応答をされる方もいます。
聞き取りにくい言葉で話される方もいます。
同世代の友だちとの会話とは全く違います。
驚き、戸惑い、困惑・・・それでも、子どもたちは一生懸命関わろうとしました。


二回目の訪問をする時、子どもたちは、お年寄りと自分との間に、喜んでもらえるものを入れたいと考えました。
親しくなれるような話題を入れたいということでした。
それは、お年寄りが子どもの頃に歌っていた童謡、唱歌でした。
学級では、毎日、合唱の練習をしていましたので、子どもたちの得意分野でした。
さらに、劇発表もしました。
二回目の訪問は、大成功でした。
お年寄りの方と子どもたちの距離感がなくなりました。
学校で行われる異年令集団の形式的な交流活動とは全く違ったものになりました。

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