教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 543回 6年生の学習指導 独り思考を鍛える

課題が決定したら、問題解決のための道筋です。
先生が発問、指示をして学びを牽引していた形態を変えていきます。
子どもたちの学ぶ道筋を子どもたちに少しずつ任せていきます。
一度に任せることはできません。
子どもたちの習熟度に応じて指導します。
任せるためには、学び方指導が必要です。


まず、課題、問題をとらえることができるようにします。
これについては、前回にお話ししました。


次に、課題に対して、一人一人の考え、仮説を立てます。
ノートに書くことで自分の考えや見方を持ちます。
独りで考えを作られないのに、集団学習へと向かわないようにします。
学びは、独り学習に始まり、独り学習で終わることが基本過程です。
学びは孤独な過程を歩むことが大切です。


さて、ノートに仮説や推論を書いたとします。
この考えをどのように深めたり広げたりするかです。


お互いのノートを交換して読み合う学習をします。
班の友だちとそれぞれ交換しあって読みます。
読んだ後、それを参考にして自分の考えを修正、加筆しましす。


班員以外にもいろいろな考えが出ていると先生が判断した時は(介入)、全体でのノート交換を実施します。
子どもたちが自分のノートを机上に開いておきます。
そして、立って教室をまわって友だちのノートを閲覧します。


話し言葉を通して学ぶのではなく、文字言語を通して学ばせます。
聞いて学ぶのとは違います。
静かな教室に子どもたちがそれぞれのノートを読んで考えます。
そして、自分の席に戻って、再びノートに書き込んでいきます。
この時に大切なのは、自分の考えが違ったと気づいても消さないことです。
後から後へと自分の考えを継ぎ足していきます。


子どもによっては、十分に自分の考えが深められない子がいます。
その時こそ、先生が横からサポートします。
絵を描いている時のようなアドバイスをします。
どんな思いを書きたいのかを尋ねます。
そして、考え方の視点を多角的に示唆します。
もちろん、それぞれの子どもに応じて実施します。
子どもたちに、学びを任せるということは、裏方としての先生の指導が必要なのです。
手放しで子どもたちに学習を任せてはいけません。
結果的に、自分たちの力で学び抜いたという実感を持たせるようにします。


子どもたちの考えは、ノート一ページを埋めるようになります。
独り学びの時間は、課題の深さ、難易度によって異なります。
子どもたちの思考の広がりと深まりがどれだけ期待できるかどうかです。


次に、発表、話し合いに入ります。
発表は、話し合いのための考えを出し合います。
話し合いではありません。
発表は話し合いの広場づくりです。
発表して、どのような考えがあるかを全員に見渡せるようにします。
それをもとにして、話し合いに入ります。


話し合う時の留意点として、
ノートを閉じておきます。
ノートを見て話し合わないようにします。
ノートにとらわれてしまうと、自分の考えが深まらないからです。
友だちとお互いに考えをぶつけ合うなかで、自分の考えを深めていきます。


途中で、自分のノートを広げさせます。
話し合った結果としての自分の考えとノートの考えを比べます。
そこから、自分の考えの変化を書き留めます。
あるいは、確信したことを書き加えます。


このように学びの過程を指導していくことで、子どもたちは学び方を理解します。
ただし、ここに書いてあることは、三カ月以上の時間をかけるようにします。
子どもたちの状況に応じて、少しずつ難易度をあげていくからです。


時間と手間をかける」ことは、すべての「育てる」という手法に必要不可欠なことです。

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