教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 54回 ノート指導は 指示ではなく 指導

ノートの指導において、決して譲ってはいけないことがあります。
「ていねいに書く」ことです。
文字はへたでもいいです。
ていねいに整理して書くことを要求します。


たとえば、算数の学習の単元名で「グラフに表そう」という題名があります。
まず、それだけを書かせて手をおかせます。机間巡視してチェックを入れ、ていねいでないノートの書き直しを指示します。
全部書いてしまってからでは書き直しがめんどうですね。
だから、短く区切ってチェックを入れます。
こういった指導は、一ヶ月の継続が必要です。


 ていねいに書かれているノートをコピーして、後ろの掲示板に「ノートづくりコーナー」設けて掲示していきます。
 ノートはできる子に学びます。
 勉強のできる子は、自分なりに工夫しているノートをつくっていることが多いです。(逆に、乱雑な場合もあるのですが)
学ぶは「まねる」ということからでています。したがって、よいノートはしっかりとまねをさせましょう。


さらに効果的な方法として、先生が自筆で書く教科のノートの例を書いてみることです。子どもたちにとっては、結構、注目されるノートになります。


ただし、「このように書きなさい」と指示するのではなく、あくまで参考例として提示します。そうすることで、子どもたちのノートの工夫が自由度を増すことになります。


掲示するノートの視点を固定しないことが大切です。
「ていねいに書いたノート」「数字がわかりやすいノート」「絵を活用しているノート」「考えを深めるノート」「まちがい直しが上手なノート」「計算の後を残しているノート」「学習の流れがわかるノート」など、まだ他にもあります。
ノートを書くときの視点を変えていくことで子どもたちのノートの個性を大切にしていきます。


授業の最初の三分間。
「国語のノートを開けなさい。自分が一番よく書けていると思うページを開けなさい。全員起立。今から三分間、自由にまわって友達のノートを参観しなさい。ノート参観を始めます。」
このような機会を時々つくっていきます。
ノート参観を多用します。友だちに学ぶ効果は大きいです。


ノートづくりの効果が高まり始めると、班で一人、ノートの使い方のすぐれている人を推薦させます。各教科で実施します。
その子どものノートを一日、後ろに置いて自由に見られるようにします。
このように、ノートは常に公開させるといいです。もちろん、先生がノートを集めて、点検を行うことも必要ですが、それよりもノート公開の方が効果的です。


ノートは学びの基本です。一年間で一冊も使っていないノートは問題です。
「どうしたらノートをたくさん使えるかな」ということを意識させます。
一冊目が終わったら、二冊目にホッチキスでとじて使います。自分の努力の後が目に見えるようにします。


ノートに必ずページをうたせます。単元ごとに1ページからうちます。そうしていくと高学年ぐらいでしたら、国語や算数は、どの子も3冊は簡単にこえるぐらいになります。
ノートを集めて、点検するのはとても面倒です。しかし、評価をノートに書かれている内容でとることも多いですね。


先生が子どもたちのノートの感想、いや、評価するとき、一つのポイントを決めて線を引いて丸をつけるという簡単な方法もあります。子どもたちには、前もってそのポイントを伝えておき、返却されたら、どこがよいのか、どこがよくないのかを確認させます。


もう一つの点検方法
子どもたちにノートを開かせます。
机間巡視して、一人ずつに注意点、改善点を伝えます。
その先生の言葉を子供たちに赤鉛筆で記入させておきます。
もちろん「今日は、いいねと思う点を一言いいます。」というのもいいですね。


ノートの役割
考えるノート、覚えるノート、まとめるノート、そして、備忘(メモ)
この役割を子供たちに意識させて使わせるようにします。
ノート指導には、厳しすぎるということはありません。
他教室の授業参観のときに、ノートを見せてもらえば、子どもたちの学びの姿勢、そして先生の指導の姿が見えてきます。


指示ではなく、指示したことをできるまで導いていくのが指導ですね。

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