教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 53回 一人は独りから ノートで鍛える

連休明けから、独り勉強の指導を強化します。
「一人」ではなく、誰にも頼らない孤独を基本とした「独り勉強」「独り学び」です。
学び方については、多くの先生方が、すでに実践されていると思います。
教科書をどのように活用するか。
復習と予習のあり方について。
宿題としての漢字練習の仕方
いろいろと考えられますが、今回は、学び方において最も大切であると考えるノート指導についてお話しします。


なぜ、ノート指導が重要かというと、学び方の基礎は独り勉強の仕方にあるからです。
 「一人」ではなく「独り」という漢字を使います。
「独」は、「誰にも頼らないで」という意味が込められています。
私は、「独り勉強」「独自学習」(斎藤喜博先生)と呼んでいます。
独り勉強の基本は、如何に他人の力を借りないか、使わないかです。


授業において、すぐに班などで学習相談をさせていることがあります。
独りでじっくりと考えさせないで、少しばかりの時間を与えたあと、班で、全体で、みんなで考える授業になっています。
独り思考の時間が軽視されています。
特に、1学期は独りで耐える、頑張りぬく姿勢を少しずつ育てるようにします。そのあとで、1学期の後半、特に、2学期は小集団学習を核として話し合い学習に指導の力点を移します。


学校の勉強というのは、つまるところ、生涯学習の基礎です。
それは、独りで学び思考することです。
みんなで智恵を寄せ合って考えることは必要ですが、それは、前提として一人一人の考えが確立されている場合です。


 ノートのはたらきを考えましょう
 考えるノート 覚えるノート 慣れるノート まとめるノート、そして備忘、メモです。
漢字練習は覚えるノートです。計算練習は慣れるノートです。調べたことをまとめるノートもあります。しかし、一番多く使わなければならないのは、考えるノートです。


算数ノート、数字や式だけのノートでいいのでしょうか。間違いのあと、いろいろな考えを書いたノート、誤答分析ノートや学習の振り返りノート・・・さまざまですね。
算数の学習内容によっては、数式よりも作文の方が多いときもあります。


国語のノート、最も多くのページを必要とします。独りで読み深めるノートです。
土台学習としての新出漢字、言葉の意味学習など調べるノートです。
読み深めの学習においては、一般に書き込みといわれるものをノートに書いていきます。
文章に独りで働きかけて自問自答するものです。
子どもによっては、「ごんぎつね」という物語の学習で二冊のノートを使った子がいます。半分以上の子どもは一冊ぐらい使います。
書いて考える、考えるために書くという作業が子どもにとって思考を練る上では有効です。


理科のノート、科学的な思考を形成する上では大切なノートです。単に、わかったことをまとめるノートではいけません。
先日、勉強会に来られた先生が、「ひょうたんが発芽していなくて観察ができないので、教科書のひょうたんの成長の絵をノートに写させてテストをしたらいいよ」と、世話係の先生が言われたことに驚いておられました。
テストのための学習になっています。子どもたちの理科嫌いは深刻になるばかりです。
ひょうたんがどうして育たなかったかを子供たちなりに分析することが理科学習です。


ノートの左側三センチぐらいに縦線をひきます。
そこには、学びの順序にしたがって、「問題(疑問)」「予想(仮説)」「話し合い」「実験・観察計画」「実験・観察」「結果」「考察(考えたこと」などを書きます。言葉は学年に応じて変えます。
 理科の思考を学ばせていきます。


社会のノート、社会科学のノートです。
やはり科学的思考の後を残すことは必要です。
高学年のノートで考えます。
形式は理科ノートに準じます。
最初にあるのは、課題、問題、疑問です。
かつては「さしすせそ学習」という学び方が提唱されました。


 問題をさがす しらべる すいりする  せいりする それを使って広げる


 問題や課題にたいして、自分の考えを持ちます。すぐに調べるのではなく、自分の考えをもってから調べます。課題に対して、自分なりの予想、日常経験をもとにした考えなどを書いていきます


 それから資料を使って調べます。
調べたことは、ノートに書き込みます。できれば課題に関係のあるものを書かせたいのですが、最初のうちは、調べたことをランダムに書かせてもいいと思います。子どもたちは、調べる活動が冒険的でたのしいのです。
未知の世界に足を踏み入れることが楽しいようです。
教科書から飛び出していくことが学習意欲につながります。


調べたことをもとにして「わかること」を見つけて「推理」する段階に入ります。わかったこと、推理したことを「整理」します
推理するとは、「比べて考える」「つなげて考える」「仮説を立てて考える」などです。
課題の答え、さらに、わかったこと、そして、わからなかったこと、さらなる疑問も書きます。


どの教科のノートもたくさん使うことを奨励します。
単元ごとにペーシを打たせます。
単元の学習が終わったあと、「何ページ使いましたか」という質問をして発表させます。
ノートのペーシ数よりも書かれている内容が大切なことは言うまでもありませんが、初期において、ページ数を競わせることも必要です。
そうすることで、ノートにどんなことを書いたらよいかを考えるようになり、自分の勉強を広げるようになります。

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