教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 484回 子どもの空気、波長に合わせる

子どもたちは先生や親に対して、いつも感覚的なアンテナを立てています。
空気、雰囲気を感じて生活しています。


子どもたちは、自分たちが先生に好かれているかどうか、その空気を感じ取ります。
先生や親の機嫌が、今日はいいのか、悪いのかを敏感に察知します。
子どもたちが先生を見る時の上目づかいのなかに、彼らの気もちを窺うことができます。


近所の道を散策していると、小学生とすれ違います。
彼らは、上目づかいで、私が、挨拶できる人かどうかを感じ取ろうとしています。
挨拶したら返してくれるかを考えているようです。
私は、こちらから先に、「こんにちは」と挨拶をしました。
その子も「こんにちは」と言葉を返し、ほっとした様子で通りすぎました。
子どもの波長に合わせます。


しかし、その子どもの様子から、本当に挨拶をしたいわけではありません。
学校で教えられているのでしょう。近所の人にも挨拶するようにと。
子どもは、挨拶する自分を演じているようでした。


先生の言葉は、指導の上で大切なのですが、実際の子どもたちは、先生の雰囲気を感じ取って学んでいます。
先生が優しく子どもに教えていても、子どもたちは、先生の雰囲気を感じています
「なんとなくめんどくさそうだ」「笑っているけど怒っているみたい」


先生は、自分の知らない間に、身体全体から子どもたちに向けて、目に見えないエネルギーを出しています。
先生の熱血エネルギーは、子どもたちを意欲的にしたり、反対に圧力になったりすることもあります。
指導者の温かい雰囲気が子どもたちを包み込むこともあります。


子どもの空気の中に入る、波長を合わせることも大切です。
先生が教室に入る時を考えましょう。
朝、最初に教室に行くとしましょう。
先生のいない教室では、子どもたちの朝の会が行われています。
そこには、子どもたちだけの空気が生まれています。
この空気、雰囲気を壊さないで、先生は入室します。
子どもたちに波長を合わせます。


朝の会で楽しそうな声が聞こえていたら、先生は、笑顔で入室します。
気難しい顔で入らないようにします。
子どもたちの雰囲気をこわします。


あるいは、静かに話し合いが行われている時は、先生も音無しの入室です。
前に司会者が立っているときは、後ろのドアから静かに入ります。
先生は、子どもたちが行っている朝の会の空気に波長を合わせて入室します。


子どもの空気に同調しながら、子どもに近づきます。
そして、波長が合うようになったら、次に、先生の波長で子どもたちを導きます

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