教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 426回 長期不登校児 その(2) 子どものまわりを うろうろする私

前回に続きます。


お互いに姿を見せ合わない先生と子どもの関係から始めました。
子どもにとって先生が訪ねてくるだけで圧力をかけることになります。
今までの先生がそうであったように、自分を学校に連れ戻そうとする意図でやってくることを知っているからです。
彼女は、内心、先生が来たら登校しない理由を考えているはずだと考えました。
「まだ、しんどいから」「もう少ししたら行くかもしれない」「体の調子がよくないから」との理由を考えさせることになります。
要するに、担任が一歩彼女に詰め寄ることで、彼女に無理を強いることになります。


始業式の日にチューリップを玄関に置いてから、数日、何もしませんでした。
彼女は、母親に「今度の先生、不思議。最初に来たけど、もう来ないのかな」と話していたそうです。
私は、母親とも連絡をしないようにしました。
彼女は、母親が学校からの電話に出ると不安になるからです。


一週間がたちました。
大切なことは、彼女から出ている気のエネルギーと同じぐらいの大きさで近づきます。
学校行事や教室の様子を写真にして送りました。
写真を通して彼女に語りかけます。
ただし、一度に何枚もの写真は、彼女にとってプレッシャーになります。
写真は、できるだけ彼女の座席から見た景色を写すようにしました。


私と彼女との最初の出会い・・・2週間後の出会い
彼女の自宅を訪問することは避けました。
彼女が自宅以外で過ごせる場、不登校児のための教室を訪問しました。
彼女は絵をかいていました。


私はその絵を見ながら「今日は、〇〇です」と挨拶をしました。
名前だけを告げました。
その名前に彼女は反応しました。
ちらっと、私を見て眼差しを元にもどしました。
私の名前を意識しているようでした。
学校の名前や担任であることを言わなくても知っているようでした。


「絵が好きなんだね。私は、絵が苦手なのでうらやましいなあ」と伝えました。
「絵を描いているときの〇〇さんの顔は素敵だね」
彼女との対面は3分間程度でした。
そのあと、教室の先生から彼女の様子を聞きました。


教室は学校から車で10分ほどのところなので、午前中の専科の時間に訪問しました。
一週間に3回ぐらい尋ねるようにしました。
自宅に訪問すると、保護者がいるので彼女と対等に接することができません。
不登校児の場合、親子関係が起因するものが多いです。
短期の不登校の場合は、友だち関係や先の相性が起因することもありますが、長期の場合は家庭が不登校の一因になっていることがあります。


私が、最初、学校で母親と懇談しました。
表情のない一見、穏やかな方でした。
私は、子どもを母親から切り離して接するほうがよいと判断しました。
教室であったときの彼女の表情は、母親と同じでした。
どこが不安を抱えて、自分を閉じ込めている表情でした。


こうして、5月の連休までは、私が教室を出向くようにしました。
教室にいる時間も少しずつ増やしていくようにしました。
そして、連休明けから私は、もう一歩近づくようにしました。


次回に続く。

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