教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 401回  話し合いの育て方(7) 発言が苦手な子を参加させるには

自由発言による話し合いを指導する場合、三カ月かけて少しずつ話し合いの型を整えていきます。
その時に模範となる話し合い、リーダーによる話し合いを先行させます。
彼らの話し合いの仕方をまわりの子どもたちの参考にさせます。
どのようにしてつないでいくか、具体的にわかるようにします。


つないでいく話し合いは、子どもたちが教材に関心を持った時に表れます。
接続語を駆使して友だちと自分の意見を関わらせます。
接続語は、学習していることを広げたり深めたりするときに大切な言葉です。


話し合いに少しずつ他の子どもたちが参加できるようにします。
そのためには、いくつかの留意点があります。


リーターによる話し合いは、話の展開が速くなることが多いです。
だから他の子どもたちが話し合いのなかに入りにくくなります。
だから、「間合い」を入れるようにさせます。
最初は意識して、3秒から5秒の間合を指示します。
これは暫定的なものできっちりと数えるわけではありません。


次に留意することは、他の子どもたちが話し合いに参加できるために、今、何を話し合っているかを常にわかるようにしておくことです。
このために先生は、話し合いを中断します。
そして、班や全体で話し合いの内容を整理したり、めあてを確認したりします。
時によっては、個人思考に戻りノートに自分の考えを整理させます。


次に留意する点は、子どもたちが自分の考えに少しずつ自信をもたせます
無記名の用紙を配布して、自分の考えを書かせます。
紙に書かれた考えを話し合いのなかで、先生は適宜読み上げます。
そして、その無記名の考えを褒めます
だれが書いたかは問いません。
子どもにとっては、取り上げてもらうことで自分の考えに対する自信を持ち始めます。


このようにして、話し合いを膨らませていきます。
以前にお話ししましたように、話し合いを育てるための場面は二つです。
話し合いに適した教材、問題を話しあいのために活用します。
わかりやすい内容で、いろいろな考えが出るような場面を設定します。


もう一つは、教材、課題自体のおもしろさがあれば、自然に話し合いは盛り上がっていきます。
先生は、この二つの場面を使い分けます。


子どもたちだけで話し合いが進んでいくと、課題追究が前に進まないことがあります。その時には、中断して、話し合いの問題点を指摘します。
そして、話し合いに参加していない子どもたちに
「今、話し合っていること以外に自分の考えをもっている人はいませんか。」
と持ちかけます。
子どもたちの顔を見ると言いたいと思っている子どもたちとの視線があいます。
私は、指名して発言を求めます。
こうして、話し合いが進まないときは、より多くの子どもたちの考えを求めます。


また、先生は、課題追究に停滞がおきたら、違った角度、視点を与えて学習内容をながめさせます。
助言でありヒントでもあります。


話し合いに先生はいろいろと指導を入れたくなりますが、できるだけ子どもたちに任せて、つまずくまで見守っているゆとりが必要です。
できるなら、「話し合いが進んでないよ」「話がそれていないかな」など、子どもたちから声がでるまで待ちます。


子どもたちが自分たちの話し合いで学習を進められるようになると、教室全体に活気がでてきます。
その活気が話し合いの苦手な子どもを巻き込んでいきます。
次回に続きます。

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