教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 394回  4年「ヒトの体のつくりと運動」ヒトたらしめるもの

4年生の教材に「ヒトの体のつくりと運動」があります。
学習指導要領では次のように書かれています。


 ヒトや他の動物の体の動きを観察したり資料を活用したりして、骨や筋肉の動きを調べ、ヒトの体のつくりと運動のかかわりについての考えをもつことができる。
   ア 人の体には骨と筋肉があること。
・ 児童が自分の体に直接触れることを手がかりとして、骨の位置や筋肉の存在を調べるようにする。
・ 体を支えたり、動かしたりするときに使われる骨と筋肉があることをとらえるようにする。
   イ 人の体を動かすことができるのは、骨と筋肉の働きによること
体の動きは骨と筋肉が関係していることを自分の体を動かしたり、他の動物が運動しているところを観察したりしてとらえるようにする。
・ 実際に腕で物を持ち上げると、筋肉の硬さが増していることがわかる。
・ 体の各部には、手や足のように曲がるところとまがらないところがあり、曲がるところを関節ということをとらえるようにする

体が動くのは、骨と筋肉の仕組みによるものであることを理解させようとしています。最後に、少しだけ動物の骨格と比較しています。
このような教材を目の前にして、どのような考え方を基本におくかということが大切になります。


単に、知識として入れることではありません。
私は、この教材の根底にあるのは、骨格からみたヒトらしさの発見です。
ヒトは骨格の形としてヒトの姿を保っています。
他の動物もその骨格において、うさぎであったり鳥であったりします。


ヒトをヒトらしめているのは、ヒトらしい骨格です。
人間らしさをわれわれの骨格から読み取り、ヒトであることを自覚させます。
ヒトらしさは、胃や肺ではなく骨格の一つひとつに人間らしさが表れています。


もう一つのねらいがあります。
子どもたちが、自分の体についての考えをもつことは、自分の命を守るうえにおいて大切な学習です。
自分の体の仕組みを知ることは、自分の命を大切にすることにつながります。


そこで、教科書の内容を膨らますことにします。
指導計画として


第1時 人体の骨格概観と骨の働き
      骨はどこにあるの、自分の体の骨をスケッチしよう
 第2時 人間と動物の骨格の比較
     ヒトらしさは骨格にあることを理解する。
 第3時 チンパンジーとヒトの頭骨・背骨の比較
      比較することでヒトらしさを見つける。
 第4時 関節の位置としくみ
      骨が動くところすべてに関節あることに気づく。
 第5時 ヒトとサルの成長
      頭骨の成長を通して比較する。(知能の発達)
 第6時 骨を動かす筋肉の働きを理解する。
      ヒトはどのように体を動かしているかを理解する。
第7時 動画視聴によるまとめ


実践例として第1時をあげます。
教科書を閉じておきます。
A4の用紙を配布します。
それに、自分の全体の骨格を書かせます。
指で自分の骨格をたしかめらながら書きます。
背中などは、友だちの体を借ります。
こうして、時間をかけて作り上げた自分の骨格図と教科書の図とを比較します。
子どもたちは楽しみます。
自分の骨格について考えたことがないからです。
他の動物の骨格と比較するとき、ヒトらしさを求めて比較させます。

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