教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想393回  子どもたちの「たった今の生活」に直結した係活動

係活動そのものが前に進んでいくためには、子供の知恵・技術・意欲が土台になっていきます。子どもが仲間として、どのように知恵を出しあい、それらをひびきあわせていけるかが大切になります。
係の仕事をどのような方法で実現していくか、実現できる技術、方法の問題をどうするかを指導者は考えておく必要があります。
さらに、子ども自身が係活動を継続するための指導者の支援の問題もあります。


私が大切にしていたいくつかの視点をお話します。
自分の願いが実現できるということ
係の仕事をするにあたっては、係としてのねらいをしっかり持たせます。
しかし、もっと大切なことは、その係を自分がするにあたって、どのような願いを持っているかです。


たとえば集会係に入った子どもについて考えてみましょう。
集会係のねらいは、「みんながもっと仲良くなれるように」という係としてのねらいを決めたとします。
しかし、一人一人の係の仲間たちの願いは少しずつちがってきます。
「新しい遊びを作りたい」「集会で司会をしてみたい」「男女が仲良くなりたい」などの違った願いがあります。


この願いを係の出発にあたって、係の仲間同士で話し合って、お互いを理解しておく必要がります。自分の願いを実現するための係活動が前提にあります。
学級に役立つことは大切ですが、その前に、係の子どもたち一人ひとりが係活動に対して願いをもっていることです。


係活動の建前とするねらいのみで、先生が子どもたちをひっぱっていくと、子どもの個々の願いは消滅して、活気のないものになってしまうことがあります。
学習もそうですが、係活動も一人の子どもたちの願いから出発できるようにします。


自分のよさを生かせるということ
子どもが自分のよさを生かせる活動にします。
自分を生かし、他の仲間も生かしていく場であることが好ましいです。
それは、お互いの違いを認めあえる場になることです。
お互いの違いを認めあえる空気を育てていくための係活動をめあてとします。


一つの係の仕事を考えてみても、分担できる内容が多いです。
それぞれの個性、特技を認めあいながら仕事を分担させていきます。
「なぜ、◯◯さんに、その仕事をしてもらうのか」をみんなで考えさせます。 その活動を通して、友達のよさをいっそう深く知っていくことになります。
また、分担しても支えてあげなければならない仲間もいます。
お互いに補い合い、支え合うことを通して、友達の個性を大切にしていきます。


仲間の喜び・学級の高まりが見えるということ
自分のしている係活動が、仲間のために何か役立っていることが見えてくると、いっそう意欲がわいてきます。
係活動を通して、学級に働きかけて高めていこうとする主体性が育ちます。
活動の成果が見えるようにします。
    
ねらいをできるだけ小さく具体的なものにします。(スモールステップ)    
ねらいの達成状況を子どもの目で評価できるものにします。
活動の経過と結果を記録していきます。
ねらい・活動・反省、そして、新たなねらいをもつように指導します。
係に対する意見や批判を吸収していく場をつくります。
朝の会や学級会などで、係活動の進み具合を報告させます。
それに対して、他の子どもたちが評価、支援をします。
係の子どもたちが学級全員の意見に耳を傾ける態度を育てます。
友だちの評価は、励ましであり振り返る材料になります。
     
低学年を見ていると、みんなの役にたった時、とてもうれしそうな顔を見せます自分のことが十分にできなくても、友達のために自分の力が使えるということが たまらなくうれしいのです。
その気持ちは、高学年でも十分に味わえるようにしたいものです。


新鮮であるということ
どんな活動でも、長く続けていると、新鮮さが失われます。
形式的な活動になっていきます。
そこで、係活動そのものに、新しい空気を吹き込みます。
ここは、先生の指導力を発揮する大きなポイントです。
子どもたちが息詰まったときこそ、先生は待っていましたとばかり、子どもの相談にのります。


マンネリを打開するための具体案
 ①ポスタ-を作り直してみる
係の内容やお知らせを伝える掲示物をつくる時、今までにないものを考えさせます。
どうしたら、仲間の目をひきつけるかを考えさせます。
係活動のリフレッシュにもなります。
学級全員で各係を評価する。
 自分たちの係活動を祖とからの目で見てもらうことで、新たな問題点や成果が
 わかります。


係の仕事を他の仲間から提案してもらう
係の仕事を拡張します。そのために、活動内容を提案してもらいます。


係と係の合同の仕事を考えてみる。
ねらいとして、冬の風邪予防を設定したとします。
友だちの健康管理をする保健係。
教室を清潔にする美化係。
風邪に関する本や内容を紹介する図書係、掲示係。
共通のねらいをつくって係活動の連携を図ります。
   
他にもいろいろと実践されていると思いますが、大切なことは、先生の係活動に対する視点を固定しないことです。
係活動は、子どもたちの「たった今の生活」に直結していることを意識することで、新しいアイデアが浮かびます。

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