教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 334回 学習のめあてを子どもに引き寄せて

算数の学習は、基本的には自学自習がしやすい教科です。
算数を問題解決的な道筋で学ばせるようにします。
学習過程として
問題を「とらえる」・・・学習の道筋を見通す・・・自力解決・・・学び合う・・・まとめる
の5段階を考えたとします。
この時に最も大切な学習場面はどれでしょうか。


「めあてをつかむ」ことが大切だとよく言われます。
めあては、すでに、教科書の中にていねいに書かれています。


4年 算数 「グラフや表を使って調べよう」の学習の最初に「変わりかたをわかりやすく表すためのグラフを調べよう」というめあてがあります。
3年生で習ったぼうグラフから新たに折れ線グラフを学習するときのめあてです。
子どもたちは、表にあらわされた数値をぼうグラフで示されている教科書を見ています。この時に「変わり方」をもっとわかりやすくすることはできないのかという問題が投げかけられています。それが折れ線グラフです。


子どもたちはぼうグラフに表された一年間、月別の気温を見ています。
それに対して、めあて「変わり方をわかりやすく表すためのグラフを調べよう。」が提示されています。
ぼうクラフよりも変わり方がわかりやすいのが折れ線グラフであることに導いていきます。
ここが問題なのです。


子どもたちは、めあてを吟味していません。


変化がわかるという点では、ぼうグラフでもわかるのではという疑問を持ちます。
それなのに、どうして、新たな折れ線グラフが必要なのかというこだわりをもつ子どもたちが現れます。
「わかりやすいのが折れ線グラフ」とめあてに書かれています。
しかし、ぼうグラフでも変わり方はわかります。
子どもにとって、変わり方はぼうグラフでもわかるのに、どうして新しいグラフを学ぶのかがわからないのです。すっきりしないようです。


そうなると、めあてが少し違ってきます。
「変わり方はぼうグラフでわかるのに、どうして、折れ線グラフのほうがわかりやすいのか」と具体的になってきます。「ぼうグラフにはいない折れ線グラフのわかりやすさを見つける」というめあてになります。


めあては、頭の上に浮かぶ雲ではありません。
子どもたちの頭の中に迷い、疑問としてあるものです。
めあてを目の前の子どもたちにおろしてくることが大切です。


「1億より大きい数のしくみを調べよう」というめあてがあります。
子どもたちを教科書の問題にそって学習させます。
しかし、ここでも、めあてがあいまいなのです。
「1万よりも大きい数のしくみ」は、すでにならっているはずです。
その時の数のしくみとは、どのようなしくみをいうのかを想起させます。
これから学ぶ「1億より大きい数のしくみ」は、「今までにならった数のしくみと同じなのか」ということが新しいめあてになります。


「めあてをとらえる」ことで、子どもたちに疑問を起こさせることです。
めあてを十分に吟味することが学習意欲のスタートになります。


しかし、最も大切な過程は「学びを見通す」です。
次回で取り上げます。

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