教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想326回 そろそろ授業再開 9月に入学? ネット授業?

コロナウィルスによって、全国的に少しずつ緊急要請が緩和されるようです。休校していた学校も再開され、少しずつ、地域に応じて授業が再開されます。


さて、この間においても、社会は教育について提言しています。
9月始まりの学校にしたらという意見が出ました。世界のスタンダードと言っておられた知事もいました。
私は、教育制度について検討することはいいと思いますが、今、長い間、子どもたちを家庭に留め置いている現状を無視した提言であると思っています。
学校から離れてしまった子どもたちを9月まで待たせていいものでしょうか。
子どもは、社会を映し出す鏡です。
社会がかかえる不安をため込んでいます。


もう一つは、ネット授業です。
私の地域の市教育委員会は、試験的にテレビ授業を始めました。
外国でもネット授業があるので、子どもが学校に行かなくても大丈夫だという考えを公表しています。
私は、これが一番憂慮することだと考えています。
学校における授業を登校しなくてもネットで可能だという考え方の中には、学校、学級集団の意義、集団学習における学びの発展という考えがありません。
個別でできる学習の多くは知識を教えることが中心になります。
そのことは大切ですので否定しませんが、そのことが授業にとって代わることに危惧します。


子どもは集団という鏡に自分を映し出して、自己を修正、矯正して成長させます。
学びあいを通して、自分という存在や相手の存在を認め合っていきます。
自分の性格や行動が友達との関わりのなかで成長します。
個別学習のみでは達成されません。


私は、かつて、NHK高校通信講座のすべての教科を視聴しました。テキストをプリントアウトして勉強しました。
自然科学の生物、地学、物理、化学などは、学校では見せられない映像や実験が豊富で、教材研究に役立てました。
日本史や世界史、地理の番組も、とてもユニークな視点で作られているので楽しいです。
高校数学の基礎も復習し直しました。
苦手な古文の講座を受けて、なんとなく文語になれてきました。
これらは、個別で十分に学べます。
しかし、個別学習の域をでません。
誰かと考えあったり、問題点を指摘しあったりはできません。


授業は独り学習が基本ですが、常に、集団学習というフィルターを通します。
学力差ができるという意見がまことしやかに言われていますが、ここでいわれている学力とは知識です。
学力差というとき、知識差を意味しています。
学びの姿勢は時間に関係ありません。
短時間でも授業しだいで身につけることができます。


6年生を担任すると、算数の予習を子どもたちに任せました。
わからないところは、授業のなかで提出するようにしました。
予習は10月には教科書の上下巻を終了しました。
国語の漢字も同じです。
算数の苦手な子どもは、わからないところを個人的に質問させます。
私の勉強会に来られている先生が(今はコロナのせいで対面を中止)子どもたちの自宅学習(4年生)に、最初から2つの単元を自分で自習するという宿題を出されました。それでいいと思いました。
子どもたちは、プリントだけが学習だと思っていますので、それを払拭できるいい機会です。


話は変わりますが、NHK高校講座は大人でも十分に刺激を受けます。もネットでしたら、一年間35回分、一つの講座時間20分ですので、教材研究の背景として学ぶことができます。
おすすめです。

×

非ログインユーザーとして返信する