教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想304回  ていねいに ゆっくりと 子どもに近づくように

あまり急いで子どもに近づかないようにします。
まず、そのためには、子どもについての情報を少しでも多く集めます。
先生が知らない子どもたちの実態調査をします。
そのためのアンケートを作成します。


まずは、健康面です。アンケートです。
大きな病気、けがの有無。
よくかかる病気。風邪をひきやすい、おなかをこわしやすい、乗り物酔いをしやすい・・・その他子どもたちの実態に応じて聞いておきたいことを質問します。
朝食の有無は重要です。
どうして食べないのか、書ける子どもだけ書かせます。
家庭の事情を垣間見ることができます。


次に、教科に対する関心度を調べます。
各教科の好き嫌い、得意不得意を調査します。
できれば、その理由を書かせます。授業実施の時に役立ちます。
子どもたちの学習傾向がわかるからです。
この教科の好き嫌いは、一学期と二学期の終了時に調べて、授業の参考にします。授業の実施の仕方によって、教科学習の好き嫌いは変わってきます。


三つ目は、習い事、学習塾の調査です。
週何回、どの時間帯に通っているのかも尋ねます。
受験を目指す子どもたちは、帰宅が9時近くになります。
授業、特に算数においては、塾に通っている子どもたちに配慮することがあります。すでに習っていることでも新鮮な内容を入れなければなりません。塾でわかっているつもりが学習しているうちにわからないことに気づいていく、理解不足であることに気づかせます。


四つ目は、帰宅してからの遊びです。
主に屋内か、屋外か。
屋内ではゲームの有無と実施時間。
屋外ではどのような遊びをしているか。
今、夢中になっている遊び、ゲームは何か。
ゲーム脳との関連から調べます。


五つ目は、スポーツ、テレビへの関心です。
野球やサッカーのチームに入っている子どもはいるか。
練習時間帯はいつか。
テレビでよくみる番組は何か。一人、それとも家族で視聴するのか。
これらは、子どもたちとの話題の材料にします。


その他、先生によって知っておきたいことはいろいろありますが、あまり家族関係に深入りするような質問はさけておきます。
まだ、先生と子どもは、近しい関係ではありません。


担任したら、その日から親しい関係ではありません。
ただのおじさん、おばさんです。
担任は、その子の先生になったつもりになりますが、子どもにとって、先生として認めるのは、一か月、二か月かけてわかることです。
子どもは、自分を受け止め、高めてくれる人が先生です。
気を付けないと、初日に先生と子どもの関係が切れます。
まして、先生が子どもたちに初日の挨拶で自画自賛しないようにします。
言葉で時々「わたしは、明るくて元気なやさしい先生です」と自己紹介をされた先生を見かけることがありますが、それを判断するのは先生ではなく子どもです。子どもにとっての先生です。
だから、あわてずに、ゆっくりと、ていねいに子どもたちに近づきます。

×

非ログインユーザーとして返信する