教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想298回 4月の教室づくり その1  前年度の異物の除去

新年度 新しい教室が決まります。
先生は子どもを迎える準備をします。
子どもを迎えるまでがとても急がしいのです。
子どもたちにできるだけすっきりとした教室で生活させるようにします。


どのような仕事があるかを紹介します。
私が実際行ってきたことですが、先生のほうで取捨選択してください。
私の願いは、子どもたちが新しい教室に足を入れたときに、「やるぞ」「進級だ」という意欲を持たせることを願ってしていました。


たかが教室なのだから、そこまでしなくてもいいのではという考えもありますが、進級、喜びと期待を抱いて新教室に入ってきます。
その瞬間を想像してください。
私たちが引っ越しをして、その部屋が前の住民の生活の跡があるとどうでしょうか。やはり、掃除をして消してしまいたいと思いますね。
教室の向こうに子どもが見えるのです。
教室に入った瞬間の気持ちを想像してみると、どうしても教室整備をしたくなるものです。


まず、先生が教室に入ります。
子どもの机に座ってみてください。
前の席、後ろの席、窓側の席、廊下側の席・・・。
そのときに自然に目に入ってくるものがあります。
子どもたちは、それらを目に入れながら授業を受けることになります。
気になる跡をメモします。そして、一つずつ環境整備をします。


必要のない押しピンが残っています。
そのままおいておけば、次に掲示物をはるときに便利だと思いがちですが、子どもにとっては、前の学級のにおいです。
そこで、押しピンをはずします。


壁に釘やL字金具などが残っています。必要なければはずします。
金具の場所が時々危険だと思うことがあります。
特に低学年では、子どもたちがふざけあったときに壁にからだを寄せてけがをすることがないかを考えます。
そこまでしなくてもと思いますが、危機管理とは、「最悪の状態を見越して対策をねること」です。(コロナも)


掲示物をテープを使ってはっていた教室では、そのあとが残っています。できるだけ取り去るようにしますが、きれいにならないことがあります。そのようなときは、絵や写真をはります。
雰囲気が変わり、趣がでてきます。


子どもの机に座ると、一番気になるのが黒板の周辺です。
映画館でスクリーンの周りによけいなものがないように、映画視聴に集中できるように目に入るものをなくします。
黒板の周りは、テープ、押しピンあとが目立っていることがあります。私は、小さな絵、写真、造花などをアレンジします。もちろん目立たない程度にします。


窓際の子どもはカーテンのそばにいます。
カーテンがほころびていないか、洗えるなら洗います。
窓際の子どもたちは、窓越しに外の景色を見ることがあります。窓の汚れも気になるところです。
大切なのは、先生自身が子どもになって、教室のいろいろな場所に座ったり立ったりして、目に入り気になるものを取り除くことです。
大切なのは「すっきりとした教室」です。
子どもたちが「今年は教室の空気が違うぞ」と思わせたら成功です。学級発表が終わり入室したときの子どもたちの表情を観察すればわかります。


次に、子どもたちの目に入るのは、先生の机や椅子、その周辺の棚です。
乱雑になっていたり汚れていたりすると落ち着かないものです。
机の本がすっきりと本立てに立てられている、棚の中がすっきりと整頓されている、棚の上から色画用紙をはることも考えられます。
机の前面を見て子どもが勉強しています。


児童机、椅子の調整と整備
すべての子どもの座席に座ってみます。
机の中の拭き掃除、机の上の点検をします。
机上のでこぼこ、落書きの処理をします。
時々、ひどい机がありますので、予備の机や椅子と交換します。
鉛筆の落書きは消しゴムで取り除きます。
椅子も雑巾掛けをします。ガタツいていないかも点検します。
号数はあっているかも調べます。


こうしたことをていねいにこなしていくことが、子ども一人ひとりに心を寄せていく始まりなのです。

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