教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想  244回 ドイツの教育から学ぶ

ドイツの教育の特色は、小学校4年生が終わった段階で進路を決定することです。将来の自立を意識された教育システムになっています。


大学進学コースである「ギムナジウム」は9年間学ぶことになります。
職業コースの「実科学校」は、6年間です。教育レベルが高く人気のコースだそうです。単なる技術者としてではなく、公務員や経営者として活躍する人も多いようです。
さらに、職人を養成する「基幹学校」があります。


日本では、職業教育を普通学校よりも低く見がちなところがありますが、ドイツでは、かなりの人気があるとのことです。生活に困らないように手に職をつけることを優先しています。


普通教育コースは「総合制学校」と呼ばれていて6年間学びます。
子どもにあった進路を優先するので、親の満足や世間体のために、無理をしてでも大学進学をさせられることは少ないようです。
ドイツの大学進学率は全体の3分の1です。
ほかの大半の子どもたちは、その他の学校に進みます。
合理的で実用を重んじて、自分で手を動かして楽しむことを大切にして、子どもを自立の方向へ促すような教育をしているようです。


問題点もいろいろあるようです。
ドイツはできる人を伸ばす教育だといわれています。
小学校入学前に「入学適用検査」があり、小児科医が6才の子どもの発育状態を診て、「勉強する」という小学校の環境に適応できるかどうか、心と体の側面からチェックします。
小学校入学がまだ早いと診断されると、小学校の準備段階的な学校に入学するようです。


塾においても、日本では発展的な勉強をするところというイメージがありますが
ドイツでは「落ちこぼれがいくところ」という印象があるそうです。ですから、塾に通っていることを隠す家庭もあります。


さらに、気になるところは、小学4年生で進路を決めるということから、親の教育水準の影響を強く受けるようです。格差教育だといわれています。


1960年代では、ギムナジウムに行く生徒はクラスで数名、半分以上が基幹学校だったのが、現在では、半数から8割以上がギムナジウムに行くようです。
ギムナジウムに行けなかった、わずか10才の子どもに勉強ができないという劣等感を与えることになるという実態もでてきているようです。

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