教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 245回 イギリスの教育に学ぶ

イギリスは、かつての身分制の影響が残っています。
上流階級出身者のための教育と労働者階級の出身者が受ける教育が別になっています。名門大学へ進学するためのエリート教育があり、一方では、早くから職業選択を意識した中等教育があります。


上流階級のための名門私立高校は「パブリックスクール」と呼ばれ、高額な授業料が必要です。
あとの95パーセントの一般市民は、公立の小学校をへて、総合制中学校に通います。
イギリスでは、16才までが義務教育です。
修了時に試験と平常点を加味してAからGのまでのグレードが与えられます。大学進学のためには、C以上の成績が必要です。
この時点で、D以下の者は職業訓練の学校に通います。大学進学向きでない子どもが、いつまでも普通科教育にしがみつく事態を防ぐ仕組みになっているようです。
このあたり、大学に進んでも何がしたいかわからない日本の学生とはちがいますね。


かつて、イギリスは、学力低下が進む中で、全国統一学力テストを実施しました。学校ごとに成績が公表され、保護者は、それを見て学校を選択するようになりました。
その結果おきたことは、選択されることが少なくなった学校は、学校運営ができなくなり、約250校が閉校に追い込まれたそうです。
高い点数がとれることがよい生徒の証になってしまい、学校の教育も自然とテストに照準をおいた学習になったようです。


テストによる序列化は必要な時もありますが、点数をとるための競争は、子供の本当の学力や社会での自立に役立つ力を養う方向からは大きくずれてしまったようです。


 トピック学習は、あるテーマや話題を決めて、それについて、さまざまな角度から子供たちが自主的に調べて、それらを発表しあいながら学習を進めていくものですが、まさに、日本の総合的な学習ですね。
この学習については、イギリスにおいて根を下ろしているようです。


 日本で総合的な学習がしっくりこないのは、正解のない学習になれていないということもあります。正解を覚える学習が主流の日本の教育にあって、学び方を習得することがねらいであり、しかも正解があいまいな総合的な学習は、今、減速しています。

×

非ログインユーザーとして返信する