教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 243回  フィンランドの教育から学ぶ

フィンランドという国は、国家予算の一割を教育費につぎこんでいます。
したがって、大学まで一切の授業料がかかりません。教材や給食もすべて無償です。
経済的、家庭的な事情に左右されることなく、どの子も自分の持っている可能性を引き出すチャンスが与えられています。


少人数学級が徹底しています。
この国の改革で重要だったのは、中央からの縛りを大枠にとどめ、自治体や学校現場の裁量と責任による部分を大きくしたことです。
先生の力量次第で子どもの教育を工夫できます。ただし、先生の全員が大学院修士課程修了者です。先生が常に学び続けることが要求されています。


フィンランドの学校教育目標のひとつに、「落ちこぼれをつくらない」ことがあります。そのために競争ではなく、助け合うことを重視します。そして、生きるための知識と技術、社会で通用する教育を目指しています。オランダと同じように、社会の中での自立を大切にしています。


この国は、かつて習熟度別の学習が行われていました。
子どもをレベル分けして指導しても、できる子、できない子の学力がそれほど伸びなかったようです。これは日本でも同じことがいえます。習熟度別学習指導を実施した経験がありますが、これは、指導者の都合でしかないのです。効率を求めた指導ですが、できない子どもの劣等感を強める結果になることもありました。


そこで、習熟度別をやめて、グルーブ学習(4,5名)を取り入れました。
グルーブ学習は、学習の得意な子が不得意な子どもに教えるというやり方にしました。教えあい、助け合うことで、学力以外の共感性や社会的スキルを高める効果があるということです。
私は、小集団学習が教育の根幹をなしていると考えています。あえて、能力や関心の違う子どもたちで班を組織することで、支え合うやさしさ、きびしさを学ぶことができます。そこに、社会性を育む世界があります。


共同で学ぶことを重視し、そこから協同的に活動できるようにしていくことが大切です。教える子、教えられる子、世話をする子、世話をされる子、子どもたちは、人と関わる中で発達します。


 まず、やってみる、知識は自分でみつけるものであるという理念のもとに教育が実施されているフィンランド。
小さいころから、社会に出たときに自分に何ができるか、仕事をすることを教育の重要な柱にしています。子どもたちの能力に応じて、職業教育も充実しています。大学教育では、企業のニーズに応えています。


この国の教育で私たちが参考にしたいことは、次の2点です。


社会的な目的のために、知識や情報収集し、それを自分なりに考えて再構成して、また、社会に発信する行為が学習であるとしている。


二つめは、知識は単なる受け売りではなく、主体的に発見し、創造するものなのであり、子どもたちに与えられるべき、決まった知識などはないとしています。
学習者の自律と発見を重視した教授方法。


フィンランドでは、中学までは、子どもたちができるだけ同じ教育を受けることを大切にしています。

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