教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 200回 リーダーを育てる(5) 最後に動くリーダー

今回は、「リーダーを育てる」の最終回です。
子どもたちには、誰でもリーダーになれることに気づいてほしいです。
今回の「最後に動くリーダー」は、子どもたちにとって難しいです。
それは、陰で動く仕事だからです。
だれにも目立つことのない活動です。



清掃当番の子どもたちが掃除を終了して用具をロッカーに入れて教室に戻ります。みんなが立ち去っていくなかで、一人、ロッカーの用具を整頓したり、使った雑巾をかけ直したりしています。
「よし、これでよし」という気持ちで立ち去っていきます。


特別教室で靴を履き替えて靴箱に入れるときです。友達が靴箱に入れて教室に入ったあと、靴箱のくつをそろえている子どもを見かけます。


放課後、最後に教室をでる子どもが教室の窓があいていないかを確認してから教室のドアを閉めます。


ノート提出のとき、前の机に積み重ねられたノートをきちんとそろえる子どもがいます。


さて、子どもたちが上のような行動をしたとき、してはいけないことがあります。
それは「ほめる」ことです。
「すごいねえ、片づけてくれてありがとう」という先生のよくある言葉。
ちょっと待ってください。
子どもは先生のためにしていません。
ほめると「先生に認められたい」から行動するようになります。
ほめることが子どもを縛ることになります。


だから、そのような行動を見かけても何も言いません。
もし、子どもが先生を意識した行動なら、何回かで中断します。
ところが、本有に自分の意思でしているなら継続していきます。
一か月もたってから、さりげなく思いだしたように褒めます。
「そういえば、このごろ、・・・・」と伝えます。
だれとは言いません。
個々が大切なのです。
先生がむやみにほめることの弊害がでてきます。


班で発表用の壁新聞をつくることがありますね。
班の友達が分担しあって作っていきます
おおむね終わった時に、新聞にアクセントをつける子どもがいます。
色づけや色紙を折ってアレンジする子どもです。


栽培活動をしているときです。
終わったあと、友達がさっさと引き上げていく中で、用具を片付けなおしている子どもがいます。


友達がけんかをして泣いています。
周りの子どもたちは、どう声かけしたらいいのか迷いながら去っていきます。
その時に、最後まで残って「大丈夫」とやさしい声をかける子どもがいます。


学級の生活の中で、教室の備品が知らないうちに整理整頓されていることがあります。
野草をとってきて、なにげなく瓶にさしている子どもがいます。



彼らは、最後に動く子どもたちです。
黙って行動します。
自分がしたことを自慢することはありません。
黙って陰で活動します。


私は、地味な活動を通して、学級生活を支える子どもがすてきだと思っています。
ほかの子どもが目立つ活動をしたがるのに比べて、他の子どもが気づかないことに気配りできることがいいですね。


この子どもたちは、常に、学級や班、集団を意識しています。
集団を俯瞰することができる子どもたちです。
リーダーとしては、縁の下の力持ちのような動きをします。


今までリーダーとしての子どもをお話してきました。
「最初に飛び出す子」「支える子」「まとめない、まとめる子」
「空気をつくる子」そして、「最後に動く子」の5つのリーダーをあげてきました。
これらの役割は、実社会に送り出していくうえで必要な能力です。
ただし、独りの子どもがすべての能力を身につけている必要はありません。
どれかの能力をしっかりと身につけておけばいいと思います。
子どもを育てるとき、いつも彼らを送り出していく社会生活において使える能力を育てるのが義務教育の一つの責務だと考えます。

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