教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 198回 リーダーを育てる(3) まとめる、まとめない子 

子どもたちは、話し合いや活動の中で友達をまとめることがリーターとしての役割であると思っています。学級会などの話し合いでいろいろな意見がでた後、一つまたは複数にまとめるようにします。


体育のチームづくりをするときも「ぼくがします」と言って極的に活動する子がいます。うれしそうに活動しますね。集団をまとめるということに自分に対する能力の優位性を持っていることもあります。


そのような子どもたちの活動を見ていますと、次のような傾向があります。


友達の意見を聞いているとき、自分の考えを基準として意見をまとめていきます。
反対に、友達の意見を聞くだけなので、話し合いが焦点化していきません。
子どもは、みんなの前にたって活動することがリーダーであると考えています。
子どもにとってあこがれであったり、かっこよかったりするのですね。


私は、まとめるリーダーは難しいものだと考えます。
友達の意見を自分の頭の中の思考広場にのせなければならないからです。
好き嫌いや自分の意見にそぐわないからという基準で切り捨てることができないからです。
全体の意見を少し高いところから見渡すようにします。
集団の動向を俯瞰できる力が必要です。


まず友達の意見を自分を小さくして耳を傾けるようにします。
「友達の考えを耳に入れよう。そして、分類してみよう」という指導をします。
いくつの意見に分けることができるかを考えさせます。
さらに、それぞれの意見の根拠を尋ねるようにします。
なぜ、そのような意見をだすのかをていねいに聞くことが、リーダーとして、一人一人を大切にすることになることに気づかせます。


「耳を傾ける」→「根拠を受け入れていく」→「意見を仲間分け」というように指導します。
まとめるためには、集団一人一人の考えを「吐き出させる」ことです。
ですから、まとめることを考えるよりも、無理にまとめないことを優先します。
意見の食い違いがそのままになってまとまらないこともあります。
まとまらなかったという結論をだすのもリーダーの役割です。


次に大切なことは、リーダー(司会者)は、前もって自分の考えを練り、構想をもっていることです。
話し合ってどのような方向に導いていくのが、集団にとって好ましいのかを考えられるようにします。


このように書いていると子どもたちにとっては難しいのではないかと思われるでしょう。実は、このような考え方を先生がしっかりと指導観として持っていることが大切です。


子どもたちには
「まとめるためには、できるだけおそくまとめるようにするんだよ」
「それまでは、多くの友達の意見に耳を傾けるようにしてごらん。」
「まとめるまでに多くの時間をかけるのは、リーダーにとってよいことなんだよ」
「司会をするまえに、みんなの考えを予想してごらん。どのような意見がでるかを紙に書いてごらん。」
「あなたは、この問題が学級にとってどのような結論になればよいと考えているのかを自分なりに考えておくことも大切だね。」


まとめるようとして司会にたつのではなく、できるだけ遅くまとめることができる人がすばらしいリーダーであることに気づかせていきます。
さらに、充分話し合いを尽くした結果、まとまらなかったという結論をだすのも大切なリーダーの役割であることも教えます。

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