教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想182回 「ごんぎつね」と私 物語文の教材研究とその指導7回

4場面 兵十と加助の会話に寄り添うごん

「月のいいばん」
月のいいばん、あたりは、月明かりで照らし出されている。
シルエットがくっきりと見える場面である。
松虫の鳴く声。静かな場面である。
人の話し声。
逃げるのではなく、「道のかたがわ」にかくれているごん。
兵十と加助であることを知ると、もう、気になってしかだがない。
償いをしている自分の行動が兵十にどのように思われているかが気になってしかだがない。


物語には、話者が説明するところ、出来事を進めるところ、目に見えるように、耳に聞こえるように描く描写、人物の言葉や会話がある。
ごんになったらどんな気持ちで二人の会話を聞くだろうか。  


兵十「そうそう、なあ、加助」・・・え、兵十は何を言うのかな
加助「ああん」・・・ごんも何だろうと思う
兵十「おれあ、このごろ、とても不思議なことがあるんだ」
・・・あれ、おれのいつもやっていることを言うのかな。それとも別のことかな。
加助「何が」・・・俺も聞きたいよ
兵十「おっかあが死んでから毎日毎日くれるんだよ」
・・・おお、おれの話ではないか。どのくらいわかっているのかな。
加助「ふうん、だれが」・・・兵十は、おれのことに気付いているのかな」
兵十「それがわからんのだよ」「おれの知らんうちに置いていくんだよ
・・・わかっては困るという気持ちとわかってほしいという気持ちの両方がある。
兵十「ほんとだとも。うそだと思うなら、あした身に来いよ。そのくりを見せてやるよ。」
・・・明日、ちゃんともっていかなくては。
加助「へえ、変なこともあるもんだなあ」
・・・変なことなんだ、俺のしていることは変なことなんだ。


「不思議なこと」ごんの耳にとまる。
「くりやまったけなんかを毎日くれるんだよ」
おいおい、ぼくのことではないか、ごんは吸い寄せられていく。
そして「二人の後をつけていきました」
あまりにも人間に近づきすぎているごん。
しかし、「変なこともあるもんだなあ」
ごんは、自分の行為が知られていないことに気付く。
「加助が、ひょいと後ろを見ました」
あぶない、あぶない、そんなに近づいては見つかってしまうではないか。
「びくっとして、小さくなって立ち止まりました」それでもにげないごん
びっくりしただろう。それでも二人の話にひかれてしまったごん。
二人の話は「変なこと」で終わっている。
ごんは、後の話が聞きたくてたまらない。


「お経を読む声が聞こえてきました。」
ごんは、どんなことを考えて、いどのそばにしゃがんでいたのだろうか。
あのくりは、ぼくが持っていったとわかってほしいなあ。
変なことにされてしまったのではさみしいなあ・・・。


秋の夜の情景描写の美しさを自分の体験と対比して味わえるようにしたい。
また、兵十と加助の会話では、兵十が積極的なつっこみであり、加助が気乗りしない受けとなっている。5の場面では、この立場が逆転していることに気づくだろうか。


指導の流れ
兵十と加助の話に引き寄せられて、二人のあとをつけ、自分の話がでないかと期待を寄せるごんの気持ちを読み取る。


自分のことを聞きたいというごんの気持ちの高まりを読みとる過程。
Step1 「月のいいばん」の背景とごんの様子
         Step2 「ごんは、二人のあとをつけていきました」のごんの様子
           Step3 「いどのそばにしゃがんでいました」のごんの気持ちの高まり
「月のいいばん」月の明るさは、すべての姿を映し出すぐらい明るいものである。
その中にあって、ごんが兵十たちのあとをつけるということは「自分のことが話題になっていないか」という強い気持ちは、命がけで二人に歩みよっているという前提がある。



「月のいいばん」(板書)どんなばんですか


〇最初の3行を自分で読んで考えなさい。
「月あかり」という状況を子どもたちと最初に確認しておく。どれだけ明るいのかという確認である。
ごんは月あかりにさそわれて穴から出てきて散歩しているということを想像させる。


ごんは、どんなことを考えながら二人のあとをつけていったのだろうか。
ノートで考える⇒発表する(広場)⇒話し合い(深める)


・おいおい、不思議なことはぼくのことだよ
・ええ、おいて①ったのがぼくとわからないのか
・ぼくに関係のあることが話しにでているぞ。うれしいなあ。
・ついていったらそのうちにぼくだとわかってくれるかな


※ごんの独り言の形をとらせると考えやすいだろう。
 吹き出しを作ってそこに言葉を入れる。


ごんは、しゃがんで待っていた時、どんなことを考えていたのか。

① ノートで考える。  3つ以上考える。
   ごんの独り言として表現する
②話し合いをする。
・二人がでてきたらぼくの話を、また、きけるかな
・聞きたいなあ
・絶対、ぼくのことが話題になるぞ
・話題になってほしいなあ
・不思議のままでは困るんだけどなあ 
・わくわくしてきたなあ
・ぼくの償いだとはわからないだろうね。


子どもたちがごんにどれだけ寄り添ってきたかの評価になる場面でもある。
しっかりと子どもたちに想像させたい場面である。⇒ごんへの手紙

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