教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 165回 先生と子どもの関係「信頼」「尊敬」「新鮮さ」

先生と子どもの関係は
信頼 尊敬 新鮮さ


先生がどんなに優れた技能と知識を持っていても、学習する子どもが心を開いて,耳を傾けてくれないと学習はまったく成立しません。すばらしい教材研究も無力に等しいものになります。
 今、先生の肩書き、権威がなくなっている時、子どもと心を求めて開きあってつきあっていけるのは、信頼と尊敬と新鮮さなのです。昔もそういったすばらしい先生はたくさんおられました。
肩書きにたよらない教育をなさってきた先生なのです。


  
信頼  ぼくの役に立つ先生だ
尊敬  さすが先生だ
新鮮さ のびようとする、変わろうとする先生だ
              創造的な試みをする先生


どれだけの子どもたちに役立っているか、どんなことに役立ったのかという視点で、自分の実践を反省します。これもうまくいかないことも多いですが、大切なのは、先生が振り返るということです。


具体例 信頼関係を築くためのいくつかの事例
  
例1 先生は味方なのだという実感をもたせること


  子どもたちは、先生が自分にとって安全基地なのかどうかをさぐります。
 発達心理学者メアリー・エインスワースは、「安定した愛着を後ろ盾として、子どもはさまざまなことを学び、吸収し、自ら育んでいく愛着の働きを「安全基地」という言い方で表現しました。
いざというときに、安心して頼ることができる存在(親・先生・大人)との絆によって守られているからこそ、子どもは外界に目を向け、新たなことを体験したり、挑戦したりすることができます。
どんな時も自分を守ってくれるか、自分のことを考えて接してくれているかを判断します。


例2「どうしてできないの」という言葉の裏にあるもの


 先生にどうしてできないのかと問われても、子どもは答えられません。
できない理由を聞かれてもうまく言えないものです。
そのように言われると、先生に責められているように感じるものです。
先生は、できないこと、わからないことをそのまま受け止めるようにします。
そうは言っても難しいです。生身の人間が生身の人間の行動や感情をその包み込むのは難しいです。私などは、つまずきの連続でしたね。


例3 疑問やできないことがあればいつでもどこでも


 子どもたちからの用事をできる限りあとにのばさないようにします。
 特に、学習についての質問は、場所を選ぶことなく答えるようにします。
 先生は忙しいものですが、子どもを優先する姿勢は大切にしたいものです。


例4その子どもに合わせた課題や宿題


 学習が苦手な子どもにとって、先生が提出する課題や宿題は憂鬱の種なのです。やらなければとわかっていても、自分にとって高すぎる課題であれば、学習意欲がわきませんね。
ですから、先生は、子どもとの間に学習課題を挟む場合においいて、細心の注意が必要です。子どもと先生の距離を小さくするものは、この学習課題の与え方です。


例5昨日の顔と今日の顔の比較から気付くこと
 
子どもの表情を比較できるようにすることも大切です。
先生の直感でいいです。なんだか昨日の表情、雰囲気が違うと思われたことはあるでしょう。この感覚を大切にします。その根拠、事実をさぐるようにします。
 


限りなくやさしくあろうとする先生。
限りなくきびしくあろうとする先生。
学校で一番きびしい先生をめざします。
学校で一番やさしい先生をめざします。
この両方の心で子どもたちを抱きしめてあげると子どもたちは居心地がいいです。



先生の場合、「さすが先生だ」というものがたくさん持っておられます。
知識・技能では、子どもは足元にもおよびません。
それだけで、子どもたちは尊敬の眼差しで先生をみつめます。
ところが、このことが欠点になる場合があります。
専門性もっておられる先生ほど、この専門が前面にでてしまい、「そんなことできないの」「こんな簡単なことどうしてできないの」という子どもたちを見下した態度にでてしまうのです。


子どもを学問の世界へ導く上で、どこに立って指導するかが重要であると思います。


もう一つ大切なことがあります。
あまり言われないのですが、「新鮮さ」です。
子どもから見ての先生の新鮮さです。
一年間子どもたちとつき合っていると、子どもたちは先生に対して新鮮さを失っていきます。


簡単に項目をあげるだけにします。


授業の学習過程の多様化
 いつも学習の流れが同じである。
授業形態の多様化
 独り・ペア・班・班合同学習・全体学習などで変化をもたせる。
教室環境 季節ごとの変化
 教室は学習環境であり生活環境である。教室の模様替え、掲示の張り替え。
先生の服装の変化
 一年間、同じジャージにならないようにする。
 学習内容によって、服装が変わることもある。
そして、
最も大切なことは、先生の学ぼうとする姿勢が子どもたちに伝わることです。
そこに、子どもたちは新鮮さを感じます。

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