教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 157回 係活動 なくてもいいのになあ

4月に子どもたちと出会ったとき、どの子も「先生、係はいつ決めるの」とたずねてきます。
 私は「どうして係をつくることにそんなに急ぐの?」と聞き返すと「今までもあったから」という頼りない返事が返ってきます。


 私は、前の学年で行った係についてどのような気持ちで係活動をしてきたかという子どもたちの発言をまとめてみました。
○係は先生に言われたことだけをやっておけばいいと思っていた。
○係なんてあってもなくても同じではないか。
○係活動が始まると先生があれこれと仕事を指示してくるのがいやだった。
○係は先生が提案して、私たちが希望する係に入れなかった。
○自分たちがつくりたいとはおもわなかった。
○先生のお手伝いのような仕事が多かった。
○最初はがんばったけど少しずつあきてきた。
○なんとなくめんどうだなと思うようになった。
(一学期の係活動の反省をすると同じことがでるかも)


子どもたちからはいい返事は返ってきませんでした。
それでもなかにはおもしろいという子どももいました。その子にわけをたずねてみると、生物係で金魚にえさをやるのが好きだから(水かえはいや)というように、自分の好きなこと、楽なことをしているにすきません。
どうして、このようなことがおこってきたのでしょうか。


先生は、係をつくるとき、何を期待するのでしょうか。
子どもたちの自主性を高める、学級の一員としての自覚をもたせる、学級文化をつくり学級の生活を豊かにするという大きな期待を寄せられているのではないでしょうか。(授業で育てることもできる)
それとも、先生自身も目的のないまま漠然となさっているのでしょうか。


新学期に子どもたちが係活動をしている姿を見て、あたかも子どもたちが自主的に活動しているように見えることがあります。
でも、勉強よりも楽しいからということもありますね。また、勉強ではいかされない子が係活動で生かされる場合もあります。


問題にしたいのは、子どもたちは、係活動に対して必要感をもっていないことです。もし、係活動がしたいというとき、係の仕事の一部が楽しいだけです。
仲間の生活を支える、充実させる、明るくするという必要感は少ないですね。
必要感がないということは、なくても生活できるという現実があります。だから、わざわざ係をつくらなくてもいいのかもしれません。


4月、最初から、私は、係をつくりません。
係がなくても生活できるからです。
生活していく中で子どもたちが必要だと考えたら学級全員に提案させます。
班単位の時や自由班の時もありました。
それでも5月ぐらいに大方の係が決まります。


2学期からの係活動についてです。
係活動の洗い直しをします。
 「なぜ、あなたは係の仕事をするのか」
 「係活動がしたいのか、したくないのか」
 「係の仕事は学級生活に必要がないのか、それともあるのか。」
 という点について、再点検をしてみたらどうでしょうか。


子どもたちの係活動を見ていると、花の水かえ、えさやり、本の貸し出し、作品の掲示、欠席調べなどのように発展性のないものをしていることが多いです。
学級生活を営む上で、少しは役に立っていますが、生活そのものを向上させるものではありません。
学級の課題や目標につながっていないところに停滞の原因があるように思われます。
こんな学級にしたい、こんな仲間になりたいとか、学級の課題がないと、係活動は個人の興味関心の域をでることはありません。


係活動の活性化に支えられて学級風土が活気づいていきます。
係活動のねらいは、学級を「楽しくする」「便利にする」そして「ゆたかにする」の三つです。豊かにするとは、文化を広げたり、学級の友達にとって役立つようにすることです。
さらに、視点を個人におとすと、子どもが係活動への意欲を増幅させるものには大きく2つあると考えます。
ひとつは、自分の係の仕事が仲間の生活をよいものに変えていると思える時です。個人の存在が集団にとって意味のあると感じるときです。
もうひとつは、係の仕事そのものに奥が深い、工夫していける、しかも、活動するなかで自分も成長できるという自覚が生まれてくるときです。
今までの係活動の内容もすべて壊してしまいます。
そして、今の学級にとって、本当に必要な、したいと思う仕事を見つけるように導くようにしてみてはどうでしょうか。
新たな子どもたちのエネルギーを発見することになります。

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